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杉田かおる、還暦&50年超のキャリアも作品に臨む姿勢は変わらず 名優との共演秘話も

映画

◆子役時代の“掟”が西田敏行さんを困らせた



――杉田さんも子役からこの世界に入って、「未来を担う若い世代」と呼ばれた時期があったわけですが、当時を振り返ってみると、『パパと呼ばないで』(1972/日本テレビ系)では石立鉄男さん、『3年B組金八先生』(1979~2011/TBS系)では武田鉄矢さん、そして『池中玄太80キロ』(1980~92/日本テレビ系)では、昨年亡くなられた西田敏行さんと、素晴らしい共演者に恵まれて今日があるように思います。彼らから俳優として、人として、どんなことを学びましたか?

杉田:本当に恵まれていたなと思います。石立さんは、映画を観るだけではなく、休みを取っては世界中を旅していろんなことを学んでいましたし、テレビ初主演だった武田さんは、山田洋次監督の作品に感銘を受けたことを空き時間に熱く語ってくださいました。西田さんは、いろんな追悼の場でも紹介されていましたが、寂しさを上野動物園のゴリラに癒されながら耐えたお話をずっとされていて…。みなさん、自分がどうやったら主役としてやれるかということを常に考え、努力されていたので、そのひたむきな姿を見ながら、私も子どもながらに影響を受けていたと思います。

――何か一つ、当時を振り返って印象深い出来事があったらお聞かせいただきたいのですが…難しいですかね?

杉田:これは石立さんから言われたことなんですが、「ドラマの中でパパ、パパって呼んでいるけれど、俺は石立鉄男だからな。お前もチー坊とか言われているけれど、ドラマが終わったら杉田かおるなんだぞ。お互い俳優として現場にいるんだから真剣にやりなさい」と。この言葉をいただいてから、自分の中で「仕事場では情に流されないようにしよう」という「掟」ができたんですが、これが西田さんを困らせることになったんです。

「プロとして西田さんと真剣にお仕事させてもらっている」という思いがあったので、ご飯を食べに行ったことも1回もなく、あいさつ以外は一切会話をしないようにしていたんです。そうしたら西田さん、ある日、「金八先生」の友達役だった子がスタジオに遊びに来た時、「かおるちゃん、全然懐いてくれないんだけど、どうしたら心を開いてくれるかな…」って彼女に相談していたらしいんです。なんだか申し訳ないことをしてしまったと思ったんですが、当時は石立さんの教えもあったし、役のことで頭がいっぱいだったんですよね。

――そんなことが…西田さん、優しい方でしたからね。素敵なエピソード、ありがとうございます。最後に、昨年11月に杉田さんもいよいよ還暦を迎えたわけですが、新たな目標や抱負などありましたら。

杉田:俳優としては、真摯に向き合っていくという姿勢は今までと変わらず、ですね。一作一作、役を演じ切るのは結構大変なんですが、もうここまで来たら天職だと思ってあきらめます(笑)。

(取材・文:坂田正樹 写真:高野広美)

 映画『嗤う蟲』は公開中。

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