生駒里奈、20代は「30歳以降に花開くための準備期間」 “一番安心できる場所”の舞台に注ぐ真摯な思い
――昨年12月に29歳を迎えられ、20代最後の年となりました。
生駒:早く30歳になりたいです。私は20代はいらないタイプというか、20代はあまり面白くなかったですね。これから30歳以降に自分が花開くための準備期間にすぎなかったんだなって。30過ぎてからのほうがプライベートも仕事も花開くんだっていうのはわかっているので、20代はその準備にすぎないというか。必要な人との出会いとか、そういう楽しみはあるんですが…。
――そう思われるようになったのはいつ頃ですか?
生駒:25歳を過ぎてからですかね。残酷なもので、24歳を過ぎると制服の役とか若い役も少なくなって。30を過ぎないと視聴者の方が共感するような役を演じきれないなと感じていて、俳優業でもっと活躍できるのが30代だと思っているんですね。それが自分の人生の楽しみにつながっていくので、そこが楽しめる30代にできるようにしたいと思っています。
――ついついいつまでも“生駒ちゃん”と呼んでしまうのですが…。
生駒:“生駒ちゃん”でいいです。ただ16歳のころの“生駒ちゃん”のイメージではまったくないので、「違う」とは思っていただいてもいいですが、本人には言わないでほしいです。人は永遠に若いわけじゃないですし、私に限らず、「あれ?こう思っていたけど違うな」っていうのは当たり前のことなので。
――先ほど「お金を払ってくださるのだから…」というお話もありましたが、お仕事に対して真面目に真摯に取り組まれるのは昔からですか?
生駒:割とありました。どんどん大人になるにつれて、そこを真面目に考えずにあぐらをかいている人が許せなくなりました。エンターテイメントっていうちょっと特殊な仕事をしているんだったら、誰よりも苦しんで、努力して、お客様が嫌なことがあったとしてもその時間だけは幸せにしなきゃいけないっていう責任があると思うんです。全員がそういう思いでやっていると思っていたんですが、必ずしもそうではないのが現実で。だったら、この考え方は間違ってない、この考えが普通になるところまで浸透させたいって思いますね。
最近、「生駒ちゃんの考え方、俺も一緒」「私も一緒」っていう仲間にやっと出会えたので、諦めないでよかったなって安心しました。その人たちとまた共演できたらいいなではなくて、共演できる場所を作っていいものを世の中に出していこうと、また段階が変わって考えられるようになったのも、めちゃくちゃうれしいです。
――アイドルにスキャンダルが起こった時に、よく生駒さんの言葉がSNSで持ち出されますが…。
生駒:あぁ、そうですね(苦笑)。その時の私とはまた考え方とかは違っていますが、根本的なところは変わってない、変わってなさすぎますね。
――グループを卒業してソロになって、変わったところはありますか?
生駒:責任が自分だけにしかないっていうのは楽になりました。
――お仕事中心の毎日のようですが、プライベートで楽しみにしていることはありますか?
生駒:先輩と前よりもご飯に行く機会は増えましたが、これをするとホッとするというのはなくて。私は仕事がしたいなって思うんですよね。空いた時間に実家へ帰ったり、ゆっくり寝るとか、そのくらいですね。あとはサウナに行くとか…。でもそういう毎日も苦じゃないんですよね。
――今回の舞台で生駒さんのここを観てほしい!という点を教えてください。
生駒:自分じゃなくて役を観てほしいです。自分を観てもらうのはすごく苦手で。役とこの作品をいかに面白いと思ってもらえるようにするかが、自分の使命というか。今回の作品では、周りはほぼはじめましての方ばかりなので、そういう方たちのいいところをいっぱい吸収できるように、『家政夫のミタゾノ』という作品に臨みたいと思います。観てくださった方が後で調べて、「あの家政婦、生駒里奈だったんだ!」って思ってもらえたらうれしいですね。
(取材・文:渡那拳 写真:上野留加)
舞台『家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂』は、東京・EXシアター六本木にて5月16日~6月8日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて6月13~17日、石川・七尾市文化ホールにて6月21・22日、愛知・東海市芸術劇場大ホールにて6月28・29日、広島・上野学園ホールにて7月5・6日、宮城・名取市文化会館 大ホールにて7月12・13日上演。