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早見沙織が語る『雨と君と』のやさしい世界――癒しと気づきがそっと降り注ぐ日常

アニメ

■キャラが濃い、でも温かい。印象に残る“出会い”の連続

――演じる中で特に印象に残っているエピソードやシーンがあれば教えてください。

早見:登場するキャラクターたちが本当に個性豊かで、それぞれのエピソードが濃く面白いです。たとえば藤の両親。まったく性格が違っていて、お父さん(CV:上田燿司)はとにかく声が大きくて、キャラがすごく立っている方なんです。一方でお母さん(CV:園崎未恵)は、どこか藤に似たクールな雰囲気があって。でもそんな2人の間には、きっと深い愛情があるんだろうなと感じる瞬間が描かれていて。

その空気感のなかで藤が、ごく自然に、まったく飾らずに会話をしている姿がとても印象的でした。性格はバラバラなのに、ちゃんと“家族”として成立している。その距離感がすごくリアルで、面白いなと感じました。

藤のお母さんを演じられている園崎未恵さんの存在も、私にとってすごく大きかったです。昔から未恵さんのことが大好きで、1話目から順撮りで収録していく中で、「藤という人をどう構成していこう?」と日々試行錯誤していた私にとって、未恵さんの演技が“藤のルーツ”を見せてくれたような気がしたんです。「じゃあ、その表現を少し取り入れてみようかな」と、自然と意識が向いていって。未恵さんの存在から、たくさんの影響を受けました。

それと同じくらい印象に残っているのが、藤の高校時代からの友人であるミミ(CV:鎌倉有那)とレン(CV:佐藤聡美)とのシーンです。この3人が集まったときの空気は、家族とはまた全然違っていて。すごくリラックスした関係性の中で、藤が少しずつ変わっていく姿を、誰よりも近くで見守ってくれている存在なんですよね。

「高校生の頃はこうだったよね、でも今はこうだよね」と、変化を受け入れながら、そっと教えてくれる。そこにジャッジや評価は一切なくて、ただ「そうだね」と寄り添ってくれる距離感が、本当に素敵だなと感じました。

そういう友人たちとのシーンでは、藤のテンションも少し上がるんです。ですが、序盤はディレクションで「ちょっと楽しそうすぎるかもしれません」と言われ、感情の振れ幅を抑えながら演じることも意識していました。あくまでも自然なテンションで、藤というキャラクターが持つ“静かな温度感”を大事にしながら演じていきました。


――また、毎話登場するサブキャラクターたちも個性的で魅力にあふれていますよね(笑)。

早見:本当に面白いです(笑)。たとえば、公園で出会う謎めいた女子高校生コンビであったり、動物病院の少しクセのある獣医さん(CV:茶風林)であったり。あとは、藤が出かけた先でふと出会う、“謎の家に住む大人のお姉様”のような存在など、とにかく登場するキャラクター全員がとても印象的です。

キャラの個性も濃いし、なにより描かれ方が丁寧なので、一瞬の出会いですら、強く心に残ります。気づけば「この人、忘れられないな」と思ってしまう。そんな出会いばかりで、作品全体に深みと温かみを与えてくれていると感じています。

テレビアニメ『雨と君と』場面カット(C)二階堂幸・講談社/雨と君と製作委員会

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■雨の日の記憶、そして心に残る“ちょっとした奇跡”

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