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坂東龍汰、目指すは“また一緒に仕事したい”と思われる俳優 「現場でみんなが気持ちよく働けるように、と常に考えてる」

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坂東龍汰
坂東龍汰 クランクイン! 写真:高野広美

 世界中が愛するアニメーションの名作『ヒックとドラゴン』が、圧巻のスケールで実写映画化。その日本語吹替え版で、主人公ヒックの声を射止めたのは、目覚ましい活躍を続ける俳優・坂東龍汰だ。オーディションで大役を掴み、洋画の吹替えに初挑戦。俳優として培ってきたもの、そして「初めて」だからこその葛藤。そのすべてが、奇しくもヒックの成長物語と重なり合った。そんな坂東が未知なる挑戦の裏側、そして俳優としての流儀を語る。

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■「それどころじゃねえ」――必死の先に見えた、ヒックとの奇跡的なシンクロ


(写真上から)坂東龍汰が日本語吹替えを担当するヒック、トゥース 映画『ヒックとドラゴン』場面カット (C)2025 UNIVERSAL PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
 声優経験はアニメ作品『ふれる。』で一度きり。洋画の吹替えは初めてという、まさに未知の世界への挑戦だった『ヒックとドラゴン』。オーディションで主人公ヒック役を掴んだ喜びも束の間、坂東を待っていたのは、俳優の芝居とは全く異なる表現の壁だった。

 「僕でいいのかな、という気持ちは最後までありました。でも、監督から『坂東くんの素の感じがヒックっぽいし、主演のメイソン・テムズさんと骨格や顔の作りが一緒だから、声が合わないわけがない。大丈夫だよ』と言っていただけて。それが本当に大きかったです。気にしないで、僕のありのままのヒックをやってくれればいい、と。その言葉に背中を押してもらいました」。

 しかし、いざマイクの前に立つと、その難しさを痛感する。俳優が全身を使って役を表現するのに対し、声優は声という1つの武器で、映像の中の人物に命を吹き込まなければならない。

 「俳優なら、ドラゴンライドのシーンは実際になにかに乗ったりして、その体感をもって芝居をします。でも今回は、乗っているヒックに声を当てる。しかも、英語の尺と日本語の尺は違うし、口の動き(リップ)も違う。その中で、僕なりのヒックとしての遊びも入れたいとなると、物理的に考えることが多すぎて、常に頭の中がフル回転でした。もう、自分のプランなんて『それどころじゃねえ』って(笑)」。

 セリフの頭を映像にぴったり合わせることすら、慣れない坂東には至難の業。「置いてきぼりになるんです(笑)」と、苦戦した当時を笑顔で振り返る。だが、この「初めて」の不慣れさ、必死さが、思わぬ形で作品に深みをもたらすことになった。

 「アフレコは3日間だったのですが、1日目より2日目、2日目より3日目と、自分でも成長できている感覚があったんです。その僕自身の“初吹替え現場での成長”が、物語の“前半・中盤・後半でのヒックの心の変化”と、すごくリンクしていて。完成した吹替え版を観た時、それが如実に表れていて驚きました」。

 弱さや諦めを抱えた序盤のヒックの声と、トゥースとの出会いを経て自信をつけていく後半の声。意識せずとも、声のボリュームや音程までが、ヒックの感情に寄り添うように変化していた。

 「前半は『僕はね…』みたいなか細い声なのに、後半は『やってやるよ!』みたいに力強くなっている。自分でも観ていて『あ、ヒック自信をつけてるな』って(笑)。録り終えた直後は、不安で『もう1回録り直したい』と監督に言ったんです。でも、『その初々しさや完成されていない感じが、前半のヒックの弱さやポンコツな部分として絶対に必要だ』と。その時は意味が分からなかったけど、完成した作品を観て、ようやく『ああ、これでいいんだ』と腑に落ちました。少しドキュメンタリーのような、僕の成長記録にもなっているかもしれません」。

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■「また一緒に仕事したい」と思われる俳優に。人と向き合う覚悟

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