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福山雅治、初のダークヒーロー役で意識した“演技の匙加減” 本当の悪人に見えるのは「つまらない」

映画

■作品作りがエンターテインメント

――元・マジシャンである武史は、いかなる時もエンターテイナーとしての振る舞いを忘れません。福山さんが考えるエンターテインメントとは?

福山:非現実な表現を自分事のように感じてもらうのがエンターテインメントの機能だと思っています。例えば、日常で“殺人”はなじみがないものですが、映画やドラマの物語の設定としてはよく使われます。殺人の是非を描いている専門書ではなく、小説では“なぜ殺人に至ったのか?”という人間の心情を描くものが多い。それを読んだり見たりした時に「もしこれが自分のことだったら…どうする?」と感じてもらえるような作品にするのが我々の仕事だと思っています。


――福山さんご自身は、役者とミュージシャンとではエンターテイナーとしての姿に変化を感じますか?

福山:ミュージシャンも舞台上で自分が思う“ミュージシャン像”を演じているでしょうから、そういった意味では同じです。ですが似て非なるもので、どちらも表現者であることに変わりないと思いますが、僕の場合大きく違うのが、歌唱のみではなく、作詞作曲もやっているシンガーソングライターであるというところ。そうなると音楽の領域では、作詞作曲=脚本、歌唱=主演、編曲や舞台演出=監督、LIVE DVDの製作=編集、宣伝及び作品全体のプロデュースなど総合的に全て携わることになります。でも俳優の現場は分業なので、僕は映画やドラマの世界では基本俳優のみとなる。今回のようにテーマソングのオファーをいただくと重心が少し変わりますが。

――今作では、コロナ禍、町おこし、インバウンドといったさまざまな問題もはらんでいます。舞台となった“名もなき町”を福山さんが救うとしたら?

福山:エンターテイナーとして、その町にとって役立てることがあればぜひ協力したいと常に思っています。地元長崎の地域創生プロジェクトには多く関わらせていただいて、その経験から瞬間最大風速的なことができることは分かってきました。今後はそれを高い温度でいかに持続させるか?ということが課題です。

『ブラック・ショーマン』場面写真 (C)2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会
ここで描かれてる“名もなき町”を救うというのは、結局は「その人にとっての幸せとは何か」ということだと思っています。例えば、渋谷だったら新しい文化も新しい経済もどんどん生まれて、たくさんの人が集まってきます。でも、この渋谷にいることが幸せだと感じる人もいれば、逆に孤独を感じるという人もいるでしょう。都会で何か手にする人もいれば、夢や希望に傷つけられる人もいる。ある地域に対して、勝手にこちらが「寂しい町だな」と思っていても、そこに住んでいる人はちっとも寂しくないかもしれない。「この町は自分たちにはちょうどいいんだよね」という幸福もあるかもしれませんから。

(取材・文:ふくだりょうこ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])

 映画『ブラック・ショーマン』は9月12日全国公開。

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