かとうれいこ56歳、水着でも魅せる“27年ぶりの写真集” 年齢を重ねることには「日々マイペースに抗ってる」
かとうれいこ、写真集『AROUND』先行公開カット (C)三宮幹史/講談社
撮影の舞台は、オーストラリア。抜けるような青空と広大な大地が、被写体としてのかとうを優しく解き放っていく。とはいえ、すぐに昔の感覚が戻ってきたわけではなかった。
「やっぱりすごく照れくさかったり、なかなか慣れなかったりするところはありました。長年乗っていなかった自転車にすぐに乗れたという感じにはならなかったです。でも、私が20代の頃の撮影のスタイル的にも、自然な感じの自分を撮ってもらっていたので、そういったところではナチュラルに動けました。あとはオーストラリアというロケーションの素晴らしさのおかげで、こういう表情ができたのだと思います」。
ファインダー越しに写し出されたのは、自分でも知らなかった「今の自分」。それは、母として過ごしてきた日常とは、また違う顔だった。
「しばらくは子どもを撮る側に回っていたのが、これだけたくさん自分の表情を見ると、『ああ、こういう顔しているんだな』って。でも、この写真集の中では『お母さんの顔』はないと思います。子どもといる時の顔はまたちょっと違うんだろうなと。だから逆に新鮮でしたね。もちろん年齢を重ねてシワができてしまうのは仕方がないですが、『ああ、なんか20代の頃から変わらないな』っていう笑顔もしていて。懐かしく思い出したりもしました」。
56歳で水着になる。そこには覚悟も勇気も必要だったはずだ。しかしかとうは、年齢を悲観するのではなく、理想の自分を思い描き、弛まぬ努力を続けてきた。その日々が、揺るぎない自信となって彼女を支えている。
「10年ぐらい前から割と運動もするようになって。もちろん歳は重ねていくものですが、でもやっぱり抗っていくというか。『40代はこういう自分でいたいな』『50代になったらこういう女性になりたいな』というのが、ビジョンであり目標でした。ジムで私よりも年上の方が、とてもその年齢には見えないくらいお若くて。そういう方を見ていると、すごく頑張れるし、目標になったりもするんです」。
かとうれいこ、写真集『AROUND』書影(帯アリ) (C)三宮幹史/講談社
数あるカットの中でも、彼女自身が「今の自分らしい」と感じているのは、表紙にも選ばれた1枚だという。その微笑みには、積み重ねてきた人生のすべてが溶け込んでいるように見えた。
「この微笑みは昔から変わっていないんです。でも、やっぱり今の年齢と自分になったからこそこういう表情なんだなって、すごく納得できるので好きです。なんて言うんでしょう……そこにいる安心感がある顔をしているんです。周りの人たちとの関係や、その場所も含め、『あ、今のこの瞬間、すごく好きだな』って思えるような笑顔だと思います」。
その充実感は、家族の存在なくしては語れない。多くを語らずとも、そっと背中を押してくれる家族の存在が、何よりの力になっている。
「家族は、言葉でうまく伝えないというか、照れくさいんでしょうね。でも、出来上がったものを家に置いておくと、見てくれていると思うので。それに対して、例えば娘が『いいね!』をしてくれたり。そういったリアクションがうれしかったですね」。