大竹しのぶ、『リア王』挑戦も気持ちはいつもと変わらず「“男性”を意識するのではなく“人間・リア”を演じたい」
――3人の娘の姿は、父である大竹さんの目にはどのように映りますか?
大竹:よく定型的に描かれる、コーディリアはいい子で上のお姉さん2人は意地悪という、シンデレラみたいなお話ではないところが面白いですね。典型的なパターンではないところで作っているのでそこにも注目してほしいです。
リアもすごい勝手で暴君なところもあるし、娘が「勘弁してよ、お父さん!」と言うのもすごく分かる。それでまたリアが怒って次の娘のところへ行ったら、その娘はもっと怖かったという(笑)。歯車が狂ってしまったときの人間の恐ろしさみたいなものが描かれていて、すごく面白いです。
――娘を演じられる宮沢さん、安藤さん、生田さんの印象はいかがですか?
大竹:みんな真面目でお芝居が好きなんですよね。いくちゃんなんか、自分の稽古がない日もずっと毎日稽古場に来て、私たちのフォローをしてくれてます(笑)。今回初めてストレートプレイをやるということで最初は少し緊張していたけれど、今はもうみんな同志になりました。
――道化を演じる勝村さん、リア王の忠臣・ケント伯を演じる横田さん、芸達者な2人とのお芝居の絡みも興味深いです。
大竹:蜷川さんのお芝居でずっと一緒にやってきた2人なのですが、2人とも苦しんでます。「やばい、やばい、やばい、やばい」「どうしよう、どうしよう、どうしよう」、それしか言ってなくて(笑)。みんなで喜びながらも焦って、必死になっている稽古場になっています。