後藤真希が語る、平成と令和のアイドルの違い 「みんなが1番になりたかった」ギラギラしていたモーニング娘。時代
――YouTubeでは平成のアイドルについて語ったり、また近年は後輩アイドルとの交流にも精力的です。平成から令和になってアイドルの形も変わってきていますが、後藤さんにとっての「アイドル」とは?
後藤:私がずっと憧れているアイドルは、ブリトニー・スピアーズです。楽曲のアプローチでいろんなことに挑戦して世間を賑わしているイメージがありますが、その挑戦が私のやりたいことに少し共通しているんですよね。毎回しっかりとテーマ性があって、絶対にインパクトを持たせて心をガッチリと掴んでくる。そんなところに憧れ続けています。
あのギラギラ感は、令和のアイドルたちにはあまり無く、ギラギラというよりフリフリな感じがします。後輩たちと話をしていると、時代によってアイドルの定義も変わって来るんだなと勉強させられます。ふいにカメラが向けられてもいいように、かわいいポーズの研究をしているんですって。本当にすごい!
――それは平成のアイドルにも共通していることではないのですか?
後藤:私は逆にカメラから逃げていました(笑)。カメラが来るタイミングを教えられて「ここはカメラ目線だからね」と言われても、絶対に見ないように。それは「映りたくない」という意味ではなくて、パフォーマンスを見てほしいから。せっかく楽曲の雰囲気にノッて良いパフォーマンスをしているのだから、それを感じてほしいと思っていました。
――モーニング娘。も、どちらかというと「ギラギラ」寄りでしたよね。
後藤:令和のアイドルたちは表情管理もバッチリで「かわいい私を見て」という感覚が強いと思うのですが、私の時代は「私を見ろ!」という表現の方が合っていたと思います。みんなが1番になりたくて、他のグループだけでなく、グループ内でも競い合っていましたから。
――そんな中で、人気絶頂のモーニング娘。のセンターを務めていた後藤さんは、やはりすごいです。
後藤:その「センター」という言葉も、私がモーニング娘。にいた時代はあまり使われていませんでした。おそらくAKB48が出始めた頃に世間に浸透したような気がします。私の時代は「メイン」と呼ばれていて、メインになると歌唱パートがたくさんもらえるんです。たくさん歌いたいから、みんな頑張っていました。
――当時、後藤さんはほとんどの楽曲でメインに抜てきされていました。プレッシャーよりも、頑張りが認められた喜びの方が大きかった?
後藤:いえ、私はプレッシャーの方が大きいタイプでした。メンバーみんなが歌いたいと思っている中でメインに選ばれたのに、その私がミスしてしまったら、すべてが台無しになると思っていたくらい。ソロパートの多い「I WISH」を歌う時は、本当に怖かったです。
それを経験したからこそ、他の子たちがメインになったら「それを支えてあげなきゃ」とも思うようになりました。きっとなっち(安倍なつみ)もそう考えていたと思うし、その気持ちはスタッフさんたちにも伝わっていて。石川梨華ちゃんが「ザ☆ピ〜ス!」のメインになった時に私となっちが呼ばれて、「石川のことを支えてあげてくれ」と言われました。
――それからソロデビューを果たしましたが、グループにいる時とで緊張感は変わりましたか?
後藤:まったく違うものになりました。グループにいた時も「頑張らなきゃ」とは思っていましたが、あまり緊張はしなかったんですよね。「みんながいるし」という気持ちでやれていたのですが、ソロになると誰もいない。ひとりで『紅白歌合戦』に出た日には、緊張しすぎて膝が震えました。「私はなんでミニスカートで出ちゃったんだろう?」と後悔しましたね(笑)。
――後藤さんでも緊張するんですね……!
後藤:そりゃしますよ! 今でもひとりでテレビに出て歌う時は緊張しますよ。先日40歳になったので、今後はひとりの活動でも緊張せずにいられるようになりたいです。
――最後に『COLLECTION』発売を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをお願いします。
後藤:バラエティ豊かな楽曲の詰まったアルバムになりました。モーニング娘。時代の楽曲も収録されて、私のことを昔から応援してくれている方は“エモ”を感じられると思います。そこに意外性のある新曲2曲が加わって、きっと聴かれた方は驚くのではないでしょうか。そして、花村さんとコラボした「チェケラ」は、聴いていて笑顔になれる曲。ツインボーカルで歌う私も新鮮に感じてもらえると思うので、ぜひ堪能してください。
また、特典も盛りだくさんです。ブックレットの撮りおろし写真は、ファンの皆さんが思う「THE ゴマキ」を表現しました。観て・聴いて楽しめるアルバムをぜひよろしくお願いします!
(取材・文:米田果織 写真:米玉利朋子[G.P. FLAG inc])
後藤真希 デビュー25周年記念企画アルバム『COLLECTION』は10月15日リリース。