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白石加代子、舞台に立つことは“職業”「舞台の上でこそ息ができる感覚になってきている」

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◆『百物語』のおかげで、お客様が怖くなくなった



 出演の決め手となった杉原邦生の演出について、白石は稽古場でのエピソードを語った。

「今日の稽古では、杉原さんが、『もっと賑やかに』って言ってくださったの」。

 演出家からのダメ出しを喜ぶ白石。ベテランになるほどダメ出しをもらえなくなるのは当然かもしれない。まして演劇界の重鎮・白石に対するダメ出しはハードルが高いだろう。そう言うと……。

「重鎮なんて、ぜ~んぜん、そんなことないんですよ。私は演出家に何か言われるとうれしいんですよね。でも意外とダメ出ししてくれなくて(苦笑)。蜷川(幸雄)さんなんかでも、なんで私のことは何も言ってくださらないんだろうと思ってましたからね(笑)」。

 一方、『百物語』の構成・演出を手がけた鴨下信一については「マンツーマンでやっていただいて、あの方は割合いっぱい厳しいことを言ってくださいましたよね」と振り返る。だからこそ今日のダメ出しがうれしかったのだと言う。

 杉原の印象を問うと、こう答えた。

「緻密ですよね。それに、大きなスケールで把握してらっしゃる方。ものすごい優しい。あの方は」。

 経験を重ねたからこそできる芝居はあるのだろうか。

「今ならできるかもしれない、と思えるようになった、そのきっかけをふと思い出したんです。実は、もともと私はとてもあがり性で。若い頃、劇団にいたときは、舞台に出る直前、袖で震えていたほどでした。本当にひどかったんですよ。今ではそういうこともなくなりましたが……。振り返ってみると、転機はやはり『百物語』だったのかもしれません」。

 その『百物語』とは、1992年から22年にわたって続けられた朗読劇『百物語』シリーズのことだ。鴨下信一の構成・演出のもと、白石はたったひとりで怪談や幻想文学を語り続けた。その長い時間の積み重ねが、舞台に立つことへの恐れを静かにほどき、白石自身を大きく変えていったのである。

「『百物語』のおかげで、お客様が怖くなくなった。若い頃は怖かったですよ。目が怖い。みんなが見てるっていうことが。でも、あの『百物語』をやらせていただいた後は、袖から舞台の上に出てくるのが全く怖くなくなった。お客様と心が通い合って、自分が楽しくなるっていう感じでしたね」。

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◆舞台に立つことは「職業」 でも「舞台の上でこそ息ができる」

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