泉鏡花の初期の結晶・小説『黒百合』、初の舞台化! 木村達成、土居志央梨、岡本夏美ら出演

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2026年2月4日より上演される舞台『黒百合』より、木村達成、土居志央梨、岡本夏美、白石隼也、白石加代子ほかキャストが発表された。
【写真】舞台『黒百合』キャスト&スタッフ陣
明治32年(1899年)、泉鏡花が「読売新聞」に連載した長編小説『黒百合』。富山・神通川流域で繰り返される洪水被害と、立山に伝わる黒百合伝説を背景に、当時の文壇で新たに脚光を浴びはじめていた冒険小説の潮流にも呼応する、鏡花初期の意欲作だ。
これまで映像化も舞台化もされてこなかった本作が、2026年、世田谷パブリックシアターにて初めて舞台作品として上演される。脚本を手がけるのは、テレビドラマ界をはじめ第一線で活躍する藤本有紀。演出は、現代劇や翻訳劇のみならず歌舞伎にも挑み、ジャンルを越境し続ける演出家・杉原邦生が担う。
杉原は世田谷パブリックシアター主催公演への初登場にして、初の泉鏡花作品に挑む。その確かな構成力と自在な演劇言語によって鏡花文学に新たな地平を切り拓くことを期待し、芸術監督・白井晃が本作の演出を杉原に託した。
鏡花ならではの古典的情緒は、藤本によって現代に息づく戯曲へと再生され、杉原の大胆かつ繊細な演出によって立体化される。さらに宮川彬良によるオリジナル音楽が加わることで、欲望と清浄、美と死の二面性を孕んだ物語は、ピカレスクロマンの要素をたたえながら、令和の舞台芸術として新たに立ち上がろうとしている。
華族の血を引きながらも、幼少期に身についた盗みの手癖が抜けないという裏の顔を持つ美青年・滝太郎を演じるのは、2012年のデビュー以来、舞台と映像の両軸で確かなキャリアを築き、近年では大河ドラマ『光る君へ』や日曜劇場『キャスター』、舞台『セツアンの善人』など話題作への出演が続く木村達成。10月には主演舞台『狂人なおもて往生をとぐ』を成功に導き、その存在感をさらに強めている。
花売りの娘・お雪に“魔所”に咲くとされる幻の花「黒百合」を採ってくるよう命じる、好奇心旺盛な県知事の令嬢・勇美子役には、連続テレビ小説『虎に翼』や大河ドラマ『青天を衝け』、舞台『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』などで注目を集め、現在放送中のドラマ『ぼくたちん家』にも出演中の土居志央梨が扮する。
盲目の恋人・拓を救うために「黒百合」を探すことになる花売りの娘・お雪を演じるのは、雑誌「non-no」専属モデルとしての活動と並行し、連続テレビ小説『おむすび』や舞台『愛するとき 死するとき』などで俳優としての活躍の場を広げる岡本夏美。
盲目である自分に尽くすお雪に甘えたくないという戸惑いと、誰にも言えない秘密を抱える拓(ひらく)を演じるのは、ドラマ『ホットスポット』や舞台『応天の門』への出演に加え、映画『そそがれ』の監督、舞台『ザ・ミステリアス・ストレンジャー』の演出など、創作活動でも存在感を放つ白石隼也。
お雪と拓の隣家に住み、若い2人をいつも優しく見守る荒物屋の婆さん役には、紫綬褒章や旭日小綬章など数々の栄誉に輝き、近年ではドラマ『さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜』、COCOON PRODUCTION 2022/NINAGAWA MEMORIAL『パンドラの鐘』、映画『種まく旅人〜醪(もろみ)のささやき〜』にも出演する白石加代子が登場する。
また、滝太郎を幼い頃から知る盗賊一味の白魚のお兼を村岡希美、名士の子息で法学生の島野を田中佑弥、その朋友で警部長の息子・雀部多磨太を新名基浩が演じる。2人の男は家柄とは裏腹に悪巧みばかりを繰り返し、滝太郎とお雪の行く手に立ちはだかる。
さらに、県知事邸の馬丁・義作に猪俣三四郎、使用人・道に大西多摩恵、訳ありの盗賊一味・慶造に外山誠二が扮し、個性豊かな俳優陣が味わい深い演技で舞台を引き締める。内田靖子、鈴木菜々、佐藤俊彦はさまざまな役を通して、越中・立山の人々の息づかいを生き生きと伝える。
舞台『黒百合』は、世田谷パブリックシアターにて2026年2月4日〜22日上演。
※スタッフ、キャストのコメント全文は以下の通り。