織田裕二、自らの人生は“実験人生” 作品へのスタンスにも変化「最近、意気込まないようにしている」

自身の歩みを、“実験人生”と語った織田。「僕は熱しやすく、飽きっぽいので」と破顔しながら、「仕事の臨み方にしても、ひとつのやり方を続けるよりも、いろいろなことを試してみたくなる。楽しいこと、ワクワクするようなやり方って、どんなものだろうってね。少年が学校帰りに道草をして、『どこかに行っちゃったな。今度はあっちに行ったか!ああ、戻ってきた!』みたいな感じかな(笑)。螺旋階段を上がっていくようでもあり、ぐるぐると正解を探しながら、年齢とともに上にあがっていくイメージ」と自身の歩み方を説明しながら、「今は、“意気込まない”というターン」だと述べる。
人生を大いに楽しんでいる様子の織田だが、もし生まれ変わったとしたら「もう一度、俳優業をやれと言われたらイヤかもしれない」と告白する。
「学生時代には、やりたいことが見つからなくて。俳優なんて、縁遠い世界だと思っていました。偶然のようにこの世界に入り、まだ海のものとも山のものともつかない状態だった20代前半は、とてもキツかったですね。芽が出ずに、一人前としても扱われない。それでいて『こんなに働いていいのか?』と思うくらい働き、眠れずにキャパオーバー。頑張ったし、一生懸命にやったという自負もありますが、その頃をもう一度やるのはちょっと大変かな」と苦笑いを浮かべつつも、「でも働き方改革もあり、撮影現場も変化しました。今の状況ならば、そのツラさはまったく違うものになる。仕事としては、ものすごくステキな職業に就いたと思っていますよ」と晴れやかな表情を見せる。

俳優業の醍醐味だと感じているのは、「人と人が集まってひとつのシーンを作ろうとした時に、すべての呼吸が合って、奇跡のような瞬間が生まれることがある」こと。
織田は「少しでも呼吸が狂うだけで、そういった感覚は味わえない。どうやったらあの奇跡が訪れるだろうかと、そういった瞬間を追い求めています。ひとつのキャンパスに、みんなで絵を描くような作業。思えば、無茶なことをやっていますよね。でも芝居好きが集まると、そういった瞬間が必ず来るはずだと信じています」と力を込めつつ、「年齢を重ねるごとに、一人では何もできないことや、みんなの力が集まることの大きさを実感しています」と仲間とものづくりすることの尊さを噛み締める。
さらに「若い頃は、『こういうことをやりたい、こうじゃなきゃダメだ』という想いも強かったですね。でも今は人に任せることも大切だと思っているし、『こういう役はどうだ?』と声をかけられて、『はいよ!』と飛び込んでいくのも面白い。そう言ってもらえなければ叶えられない巡り合わせもありますから。台本についても、『俺の読み方は間違っていたのかな、こういう読み方をしたら面白くなるんじゃないかな』と足りないパズルを組み立てていくのも面白い」とインタビューの終了時間まで、椅子から立ち上がっても俳優業への想いをあふれさせた織田。どんな話にも前のめりになって、正直に胸の内を語る姿は、軽やかでありつつ、すさまじく情熱的。その場にいるすべての人を魅了するような佇まいが、劇中の宋江とリンクした。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』は、WOWOW、WOWOWオンデマンド、Leminoにて2月15日より毎週日曜22時放送・配信(全7話)。

