「夜は天井から虫が降るのでマスクが必須」「崖から落ちたスタッフの絶叫が響く」ディーン・フジオカ、インドネシア舞台の半魚人ホラーで“命がけ”の撮影
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シンガーソング・ライターや映画監督、プロデューサーなど多才な顔を持ち、役者としてもアジアを拠点に広くテレビや映画で活躍するディーン・フジオカ。主演と製作を兼任。第37回東京国際映画祭の「ガラ・セレクション」部門にも選出され、話題となった異色のホラーアクション『オラン・イカン』が公開中だ。シンガポールとインドネシア、日本、イギリス合作となる同作で、日本刀を武器に半魚人との全面対決に臨んだ彼に、過酷を極めたというインドネシアでの撮影エピソードを聞いた。
【写真】無人島に漂流したディーン、半魚人に遭遇
■インドネシアでの撮影は「とにかく、しんどかった」
映画『オラン・イカン』場面写真 (C) 2024 COPYRIGHT GORYLAH PICTURES PTE LTD,
舞台は第二次世界大戦下、重罪を犯した日本兵の斎藤(ディーン・フジオカ)は、敵軍の英兵ブロンソン(カラム・ウッドハウス)と鎖で足を繋がれたままインドネシア近海の無人島に漂着。現地に伝わる未確認生物<オラン・イカン(半魚人)>に襲われる。
元々、大の映画好きのディーン。初めて劇場で観たのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989年)と『シザーハンズ』(1990年)の2本立て。イギリスのガイ・リッチーや、ポーランドのクシシュトフ・キェシロフスキの作品を繰り返し観て、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994年)の永遠の闇を生きる吸血鬼に心惹かれたという。今回、脚本を一読し、確かな手応えを感じたという本作について「パッケージはジャンル映画風だが奥が深く、アウトローな男と半魚人の間に言語や種族を超えた共存が描かれている」と明かす。
ディーン扮する主人公の斎藤は、同調圧力が当然の戦時下で強い信念を貫く男。罪人として英軍捕虜と鎖で繋がれ、殺し合いを命じられるハードな場面から傷だらけの受難が始まる。「彼は人や自然に対して謙虚さを持ち、静かな知性を宿す寡黙な軍人」と、役柄を分析するディーン。「サムライの矜持を心に残す旧き日本人」を演じるうえで、中途半端な違和感があっては不本意だと、自らプロデュースにも名を連ねることになった。
映画『オラン・イカン』場面写真 (C) 2024 COPYRIGHT GORYLAH PICTURES PTE LTD,
一方、反目しながら斎藤の良き相棒となる英兵ブロンソンは粗野で血気盛んなタイプ。自分とは好対照な男を演じる英人俳優、カラム・ウッドハウスを「イージーゴーイングなプロフェッショナル」と評すディーン。「お互い半裸状態でボロボロになりながら、ずっと一緒に過ごした。アジア初体験の彼の挙動も楽しかった」と、息もピッタリなバディぶりをのぞかせる。
しかし、インドネシアでの撮影は一筋縄ではいかなかった。タフなディーンも「とにかく、しんどかった」とひとこと。撮影は2023年10月頃。現地は乾季だが、ロケ地は蒸し暑いジャングル。一番近い町から車で5時間かかる僻地にベースを組み、機材を担いで45分道なき密林を歩き、カメラを回した。一行は電気もない粗末な小屋に宿泊し、夜は天井から虫が降り、目や鼻の穴に入るのでマスクが必須。当然、エアコンや冷蔵庫もなく、「自分は今、何をやってるんだろう」と自問する毎日だった。
映画『オラン・イカン』場面写真 (C) 2024 COPYRIGHT GORYLAH PICTURES PTE LTD,
そこでは日常が即ち、劇中同様の壮絶なサバイバル。「全てがいちいち常識を超えてくる。自分の生存能力に頼らないと前に進めない。本番とそれ以外の区別がないんですよ」と現場を振り返るディーン。「途中から演技じゃなくなるんですよね」と笑う。軍服を着て長靴を履き、刀と銃を持って川を渡る場面では足が底につかず、水面を漂う毒ツタの液に触れて半身がかぶれた。誤って水を飲んでは「大丈夫かな……」と青ざめたという。

