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「夜は天井から虫が降るのでマスクが必須」「崖から落ちたスタッフの絶叫が響く」ディーン・フジオカ、インドネシア舞台の半魚人ホラーで“命がけ”の撮影

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■日本刀は真剣「背筋が凍る思いで、粛々と刀を振るいました」

 過酷な現場ゆえ、実際に怪我人も出た。「現場はアップダウンがあるし、草で足が滑るんですよ。一応、衛生班はいるけれど、崖から落ちて負傷したスタッフの絶叫が夜のジャングルに絶え間なく響いてね。いたたまれない気持ちと、次は自分かもしれないと身がすくみました。言葉もないですよね。戦争ってこんな感じかもしれない」。

 だが、撮影は続く。アクションも肉弾戦や水中戦、武器や銃を駆使したりと多種多彩。しかも、相手は人間のみならず、強靭な半魚人もいる。さらに芝居に用いる小道具の日本刀はなんと本身の真剣。剣技経験のあるディーンも「背筋が凍る思いで、粛々と刀を振るいました」とのこと。また、巻頭の船内バトルは「海以外は全部本物」。スタジオに実寸大の船のセットを組み、自ら甲板から飛び降りた。フィジカル面のみならず、メンタルを試される体験だった。

映画『オラン・イカン』場面写真 (C) 2024 COPYRIGHT GORYLAH PICTURES PTE LTD,
 また、ディーンが「国際社会」に例える多国籍現場も型破りだった。クルーは英米とシンガポール、インドネシアの混成チーム。文化や言語、常識が異なる集団は衝突も日常茶飯事だったが、逆にそれぞれの国での映画作りを知ることが出来た。「共通言語は映画だけ。万事が流動的で、絶対揺るがないのは、今、何時かってことだけ。そんな感覚を味わいました」。

■「今後、壁にぶつかることがあっても、乗り越えられる貴重な糧になった」

 アクション監督はジェイソン・ステイサムのスタントを務め、『キングスマン』(2014年)に参加したクレイグ・ミラー。半魚人はハリウッドで『プレデターズ』(2010年)を手がけるアラン・ホルトがデザインした。ホラー映画好きを公言する監督のマイク・ウィルアンは人懐っこい人物で、無茶な演出にもつい応えたくなってしまう好漢。製作のエリック・クーは経験豊富で、時に酔っぱらいつつ、国際的な映画作りについて様々な助言をくれたという。

 インドネシアはスピリチュアルな国で、撮影中もイスラム教の礼拝は欠かせない。「本来、その時間は働いてはならず、破ると祟りがあるんですよ。そうしたら本当に山火事が起きちゃって。みんなでバケツリレーで消火しました。あれも戦争みたいだったなぁ」と、ディーンは再び笑う。

映画『オラン・イカン』場面写真 (C) 2024 COPYRIGHT GORYLAH PICTURES PTE LTD,
 そして、影の主役オラン・イカンとの共演も忘れられない。インドネシアに古くから伝わる実在の(?)未確認生物について「自然の象徴で人間を写す鏡。彼らにも生命の営みと愛情があり、無感情な殺戮獣ではない」と語りながら、ディーンは「間近で見るとビックリするんですよね」と打ち明ける。スーツアクターを務めたのは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)の大男アラン・マクソン。ジャングルに佇むその姿は、近寄り難い威圧感と自然への畏敬の念をかきたてる、不思議な説得力があった。

「とにかく濃くて、あまりに特殊な体験。今までやってきたどの作品とも違う。命をかけた1本だった」と本作を振り返るディーン。「今後、壁にぶつかることがあっても、乗り越えられる貴重な糧になった」という。

 観るだけでサバイバル能力が急上昇する、南の島から時空を超えて届いた命がけの力作。ディーン・フジオカ史上最高の極限体験を、映画館で共有したい。

(取材・文:山崎圭司)

 映画『オラン・イカン』は公開中。

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