『名探偵プリキュア!』長谷川育美×東山奈央、“奇跡の二人”が選んだ未来【後編】
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――キュアアルカナ・シャドウとして、キュアアンサーやキュアミスティックの前に立ちはだかってきたるるかですが、探偵の先輩として二人を試したり、時にはお茶目にあしらったりする姿も印象的でした。敵として振る舞う場面では、その奥にある目的や感情をどのように捉えていましたか?
東山:たとえば、“ほっぺツン”は、単純にるるかのお茶目さが表れたものだと私は思っています。もしかしたらスタッフさんには何か意図があるかもしれないので、合っているかは分からないですけど(笑)。
キュアアルカナ・シャドウを演じるときは、毎回「今回はなぜ彼女が出動したのか」を一つひとつ確認していました。実は、話数によって目的が違うんです。
初めてキュアアルカナ・シャドウとして登場したときは、偽物を展示していた宝生さんに、その行いを改めてもらう目的もありました。そこには、るるかなりの正義があったんです。同時に、初めて対峙する名探偵プリキュアが、どれほどの力を持っているのかを見極めようとしていました。
もし彼女たちが自分に代わってウソノワールを倒してくれれば、キュアエクレールのマコトジュエルを取り返せるかもしれない。敵のような顔をして現れながら、実はウソノワールを倒せる可能性があるのか、二人を試す意味もあったんです。
ただ、その時点では「まだまだ足りない」と感じたから、その後は二人を鍛える意味で姿を現すこともありました。一方で、マコトジュエルを奪うという明確な目的で出動したこともあります。
本来、プリキュアであるるるかにとって、マコトジュエルは守りたいものです。でも、キュアエクレールのマコトジュエルを人質に取られている以上、それを取り返すには、ほかのマコトジュエルと交換しなければならない。だから本気で奪いに行き、「自分はきちんとウソノワール様に従っている」と示さなければならないときもありました。
同じようにキュアアンサーやキュアミスティックの前に立ちはだかっているように見えても、その裏にある目的や感情は毎回違うんです。正義感で動いているのか、二人を試そうとしているのか、くれあを守るために必死になっているのか。私も一つの型にはめず「今回はこれが目的なんだ」「今度はそんなことを考えているんだ」と、その都度るるかの心情をスタッフさんにこっそり質問した上で演じていました。
アニメ『名探偵プリキュア!』(C)ABC-A・東映アニメーション
――第31話では、エクリプス・シャドウを経て、るるかが純白のキュアアルカナへと変身します。キュアアルカナ・シャドウと比べ、声の表情や変身時のセリフには、どのような変化をつけましたか?
東山:大きく違うものになったのではないかと思います。しかも直前までのエクリプス・シャドウが相当追い詰められていた状況で、漆黒と言えるほどに堕ちていたので。そこから、パーンと真っ白になる。これまで一人で抱えてきたものをすべて解き放ち、自分の本音ときちんと向き合えた。さらに、くれあが手を差し伸べてくれた。そんな多幸感に溢れていたからこそ、声の明るさからまったく違うと思います。
アフレコでは最初にテストを行うのですが、そのときは「このあとの本番で、また漆黒の気持ちに戻らなきゃいけないんだよな」と考えてしまって(笑)。いま、明るさ全開でやり切ってしまったら、もう戻ってこられないような気がしたので、少し控えめにしたんです。もちろん、テストであってもキュアアルカナをちゃんと演じなければいけないんですが、本番のときにベストな演技を持っていけるように、まだ片足を闇に残すようなイメージ、といいますか。
すると、「事前に収録したおもちゃのキュアアルカナの音声と全然違います」と言われて。「そうですよね。分かっています、分かっています!」と思いながら(笑)、本番ではしっかり、すべての闇をパーンと脱ぎ捨てました。
まるで憑き物が落ちたように、背負ってきたものをすべて手放して。「もうここからは、みんながいる。くれあがいる。一緒に未来へ歩んでいく。本当の答えにたどり着いたんだ」と演じることができました。すると、「ちゃんと白になっていました」と言っていただけたので安心しました。
長谷川:あの瞬間は、本当に幸福感に満ちていました。私としても、やっとこの姿を見られたことがうれしくて。「笑ってくれてありがとう。笑顔を取り戻せて、本当によかった」という気持ちでしたね。
東山:周りのみんなも、「アルカナがこんなふうに笑うなんて」と、温かく見守ってくれていました。私たちも第31話までの歩みをずっと見つめてきたので、「ようやくここまでたどり着いた」というゴールの感覚と、「ここからは4人で歩いていくんだ」という新たなスタートの感覚があって。その二つが重なった第31話でしたね。
アニメ『名探偵プリキュア!』場面写真(C)ABC-A・東映アニメーション
――同じ第31話では、4人のプリキュアによる初の4人合体浄化技も披露されました。初めて4人で声を重ねた収録はいかがでしたか?
東山:これがなかなかそろわなくて、苦戦しました(笑)。キュアアンサーとキュアミスティックがこれまで何度も声を合わせてきたからこそ、スタッフさんが求める“そろい方”のレベルもすごく高いんです。
長谷川:ブースの中で聞いている私たちとしては、「今のはぴったりだった!」と思うんです。でも、それでも「まだもっとそろいます」と言われて。そこから何度も重ねていきましたね。
東山:ただ、キュアアンサー役のひかちゃん(千賀光莉さん)が上手に音頭を取ってくれたので、苦戦はしたものの、何度か挑戦するうちに本当にぴったりそろったテイクを出すことができたので、あのときに感覚を大切にこれからも頑張って収録していきたいですね。
アニメ『名探偵プリキュア!』場面写真(C)ABC-A・東映アニメーション
