東山奈央「終わりたくない」と思える幸せ 歌手活動10年の“轍”と虹の向こうに託した未来
――10年走り続ける中には、一人では越えられなかった壁もあったと思います。そんなとき、一緒にその壁を越えてくれた存在は誰でしたか。
東山:10年間という時間で考えると、やっぱりマネージャーの桑原さんですね。もちろん、今のディレクターの櫻井ちゃんや、ライブを一緒に作ってくださっているバンドマスターの伊賀さんをはじめ、本当にたくさんの方の顔が浮かびます。活動を続ける中でチームの顔ぶれや環境が少しずつ変わっていく中、10年間ずっと変わらずそばにいてくれたのが桑原さんなんです。声優業と歌手業という、ぜいたくな“二兎”を追い続けてこられたのは、間違いなく桑原さんのおかげです。
私は「奈央はタフだよね」「回遊魚だからね」と言われることも多いのですが(笑)、もちろん私も人間なので、コンディションに不安を感じることはあります。そんなときも、心身の状態に細やかに目を配り、必要に応じて環境やペースを整えてくれたのが桑原さんでした。
桑原さんでなければ、これだけ多くのお仕事と向き合いながら、健康にここまで走ってくることはできなかったと思います。これは断言できます。私だけでなく、関わるスタッフの皆さんも気持ちよく力を発揮できるように調整してくれるんです。「こんなやり方があるんだ」と驚くほど鮮やかで、本当にセンスの塊だと思います。
そして、桑原さんや櫻井ちゃんをはじめ、ここぞというときに「もっと良いものにしよう」と、みんなが同じ方向を向いて力を合わせてくれる。そんなチームで活動できたからこそ、これまでいくつもの奇跡を生み出せたのだと思います。
――最後に、これまで歩みを共にしてきた皆さん、そしてアルバムを手に取る皆さんへ、今伝えたいことをお聞かせください。
東山:今回はアルバム本編に新曲が8曲、初回限定盤Bの特典コラボCDに5曲収録されていて、本当にたくさん歌った夏でした。「こんなに歌った夏はない!」と思うくらいレコーディングを重ねましたが、毎日がとても楽しかったです。それも、本当に素晴らしい楽曲がそろったからこそ。特に新曲は、どれもそれぞれが表題曲になれるのではないかと思うくらい、強いオーラを放っているんです。この曲たちを日本武道館で披露できることを、今からとても楽しみにしています。
ひとまずのファイナルアルバム、そしてファイナルライブに向けて、今は強い思い入れを持って駆け抜けています。ライブまで半年を切り、「ついにそのときが近づいてきたんだな」と寂しさを感じることもあります。でも、皆さんと日本武道館で一緒に盛り上がれる楽しみやワクワクが、今はすごく大きいです。さっき話しながら泣いていたので、あまり説得力はないかもしれませんが(笑)。日々いろいろな準備が進み、一歩ずつ日本武道館へ近づいている感覚があります。皆さんにも、ぜひ期待して待っていていただきたいです。
1stライブで見た日本武道館の景色も、本当に幸せなものでした。今度は、あの景色さえ“OVER THE RAINBOW”していくような楽しい時間を、皆さんと一緒に作りたいと思っています。ぜひアルバムをたくさん聴いて、気持ちを高めながら、来年3月11日のライブを待っていていただけたらうれしいです!

(取材・文:吉野庫之介)
東山奈央 4thフルアルバム『OVER THE RAINBOW』は、10月7日リリース。
