酒井若菜、40代で決意した「自分ファーストな生き方」――13年ぶりの写真集『ぴこぴこ。』がもたらした解放
酒井若菜、13年ぶりの写真集『ぴこぴこ。』より (C)佐内正史/講談社
プロの現場でも、酒井は常に主演を立て「私は大丈夫です」と言い切ることで自らを律してきた。だが、自らの本音を口にし始めたとき、表現者としての彼女はさらなる高みへと足を踏み入れた。
「かつての私は、『私は嫌だ』『こうしたい』という希望を閉じ込めてきました。でも、その40年間で積み重ねた癖を自覚したうえで、ようやくそれを言葉に出せるようになったんです。飲み込めるわけがないことを飲み込んできた前半40年。少しずつ飲み込めないことは吐き出してもいいんだと自分に教えていくうちに『若菜ちゃん』という人が喜んでいるのを感じました」。
仕事に対して常に誠実であろうとする姿勢は、もはや細胞レベルで刻まれた習性だ。だからこそ、酒井はあえて意識的に力を抜くことを試みた。そこには自分自身への強い信頼があったからだ。
「これまでは20ページの長台詞を長回しで一気に撮るような集中力を必要とする緊張感のある現場が好きだったし、得意でもありましたが、今回の写真集には、そうした集中力や緊張感とは無縁だからこその面白さがありました。撮影では手応えがないまま終わったような感覚さえありましたが、それこそが私の求めていた『抜け』。集中力ではない場所から何かを出すフェーズにようやく入れた気がしています」。
