酒井若菜、40代で決意した「自分ファーストな生き方」――13年ぶりの写真集『ぴこぴこ。』がもたらした解放
酒井若菜
こうしたコンセプトは、酒井が40歳のときに大きく変えた人生のコンセプトと合致した。誰かのために生き、誰かを輝かせる。周囲の空気を読み自らを抑圧する癖。激動の芸能界であれプライベートであれ、酒井は「完璧な助演」として自らの声を消し続けてきたが、その歩みにストップをかけ、40歳という年齢で方向転換をした。
「それまでは人のために生きてきた人生でしたが、もう一度マインドを整え、自分の人生の主人公をちゃんと自分にしようと決めました。そこから人との接し方やコミュニティのあり方まで、すべてを刷新したのです。これまでの40年は前半戦、これからは後半戦。そう考えたとき、ようやく自分をメインに据えて生きることが許されるのではないか、という思いに至りました。もしこれが30歳の時だったら、まだ助けなければならない人がいると考え、自分を大切に生きるなんて到底できなかった。少なくとも私にとっては、40年という歳月がどうしても必要だったのです」。
他者には献身を捧げながら、自分自身の心は置き去りにされていた。その悲痛なまでの気づきが、酒井を新たな生き方へと駆り立てた。
「40歳のころ、ふと自分が可哀想だなと感じました。誰かのためにこれほど尽くせるのに、自分自身のためには何一つしてあげていなかった。ある時に『若菜ちゃん』という一人の人間として、自分を他人のように客観的に眺めたとき、あまりにも大切にされていない事実に気づいたんです。だから、これからの後半戦は、『若菜ちゃん』という人を何よりも大事にしてあげようと決めました。そのとき、自分という存在が突然、鮮やかに浮き上がってきた感覚がありました」。
