スピルバーグも絶賛!女性同士の愛を描く『アデル、ブルーは熱い色』監督インタビュー

第66回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した映画『アデル、ブルーは熱い色』のアブデラティフ・ケシシュ監督に単独インタビューを行い、本作について語ってもらった。
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カンヌ映画祭の審査委員長を務めたスティーヴン・スピルバーグから「技術がどうとかではなく、自分の心に一番残った感動作を選びましょう」という呼びかけがあったにも関わらず、満場一致でパルムドールを受賞し、話題を集めた本作。
フランスの人気コミックを映画化した女性同士の愛の物語であり、青い髪をした年上の女性エマと出会ったことで、レズビアンに目覚めていくヒロイン・アデルの情熱的な人生を赤裸々に描く。
開口一番、パルムドール受賞のお祝いを伝えると「メルシー」とシャイな笑顔を見せたアブデラティフ監督。本作を映画化しようと思った経緯についてアブデラティフ監督は、「ふたりの女性、エマとアデルの運命的な出会いに強く惹かれたのです。その出会いが、1人の女性(アデル)の人生を根本から覆してしまうのです。アデルは深い愛を知り、情熱を知りますが、それには厳しい試練も伴います。そういう部分に惹かれました」とシーンを思い浮かべるように述懐する。
主演は『マリー・アントワネットに別れをつげて』のレア・セドゥと新星アデル・エグザルコプロス。アデルという主人公の名前は、原作ではクレメンタイン。変更した理由について「私が選んだ女優の名前を使いたかった」と話す。また、ヒロインとなる2人の女性にレアとアデルを起用したことについて「条件や基準はいくつかあります。女優が今まで生きてきた環境とか、どういった人生を送ってきたかということと、私が演じて欲しいと思う役とどのように交差しているかということ。今回のテーマは“恋愛に関する孤独”ですが、もうひとつが社会階級の違いを描くことでした。エマ役は、知的で教養があってちょっとブルジョアであること。アデルのほうはもう少し庶民階級の出で、そんなところにふたりは合致する部分を持っていました」。
「決め手となったのは、ふたりの女優を見て、プライベートではそうでなくてもこのふたりだったら愛し合うんじゃないかという可能性を直感的に感じたことです。特にアデルは、生きる貪欲さが官能的で、彼女の持っている本能的な部分が優れていました。それにアデルはすぐに役に入り込むことが出来ました。一方、レアは存在感もあり、わたしが描いていたエマのイメージにピッタリでしたが、知的に演技を構築していく人なので、少し時間を必要としました」。