東出昌大の魅力は“昭和の男”的佇まいと少年のような笑顔 インタビューで紐解く

日本中の男たちをシビれさせた不良漫画の金字塔『クローズ』。実写映画プロジェクトの新章がいよいよスタートする。オリジナルストーリーとなる『クローズEXPLODE』で、主演に抜擢されたのは、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で一気に知名度を上げた東出昌大だ。大役を次々に任される東出の魅力とは一体、何なのか? そして、“ブレイク俳優”と言われる今、彼の胸に去来するものとは?
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三池祟史監督×小栗旬主演で映画化した『クローズZERO』(07)『クローズZEROII』(09)は、一大“ワルメン”ブームを巻き起こして大ヒット。最新作の舞台は、『II』から1ヵ月後の世界。新年度を迎えた鈴蘭高校で、空席になった“頂点”をめぐって抗争が巻き起こる。オーディションで主人公の鏑木旋風雄役を得た東出は、「ええ!? あ、俺!? って感じでした」と、飾りのない言葉で合格の驚きを振り返る。
メガホンをとるのは、『青い春』(01)など、ヒリヒリとした男たちの青春劇を手がけてきた豊田利晃監督だ。「豊田監督が『クローズ』を撮るということしかわからなくて、自分が何役になるかもわからないオーディションでした。でも、豊田映画に出てくる人たちって、寂しかったり、情けなかったりする人たちばかりで。豊田監督が撮る『クローズ』も、格好良い不良であるだけではなく、人間らしい鬱屈した男たちを描くことになるんだろうなと思って。絶対に出たいと思いました」と、オーディションへの意気込みは、相当強いものだったという。
結果、一度のオーディションで東出は主役に抜擢された。「なかなかオーディションが始まらなかったんです。『始まらないなぁ』と思いながら、廊下で台本のことを考えていて。その時、僕は全然気づかなかったんですが、豊田監督が目の前を通ったらしいんです。後で監督に聞いたら、『その時に、あいつ、いいぞと思ったんだよ』とおっしゃっていて」。どうやら東出の出すオーラが、豊田監督の考える旋風雄役にピッタリとハマったようだ。
旋風雄は、背中に悲しい過去を背負い、群れを嫌う一匹狼だ。撮影前に豊田監督からかけられたのは、「俺たちは全員、孤児だ」という言葉だったとか。その上で「何者かになりたいという思いと、将来への不安。今、抱えている孤独。そして気迫を大事に演じようと思いました」と東出。しかしながら、演技プランを練って現場に行っても、「前日や当日の朝に、差し込み台本が入るんです。撮影が終わった時には、最初にもらった台本の2倍の厚さになっていましたからね(笑)。考え過ぎて頭でっかちになっていると、新しい台本に対応できない。戸惑いましたね」と、苦労を告白。「『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督とは真逆のやり方だったので、『“作ってはいけない”という役作りもあるんだ』と思った」と、新たな芝居論を学んだという。