東出昌大の魅力は“昭和の男”的佇まいと少年のような笑顔 インタビューで紐解く
旋風雄は、硬派を絵に描いたような男だが、豊田監督からは「高倉健さんのような男だ」と言われたそう。「高倉健さんみたいな男になれと言うので、『プロフェッショナル 仕事の流儀』の健さんの回を見たりして(笑)。でも、健さんは健さんだし、東出は東出で。どうしたら良いのか、色々考えましたよ! その後、『クローズ』の撮影が終わって、『ごちそうさん』の悠太郎役が決まったんですが。なんとそっちの現場に行っても、『悠太郎って、高倉健みたいな男だ』と言われて(笑)。『うおー!なんなんだ!』って」。確かに、“昭和の男”らしいたたずまいが東出にはある。今どきの俳優には、それはめずらしいものかもしれない。
硬派について、思いを巡らせた東出だが、「『武士は食わねど、高楊枝』じゃないですが、旋風雄もどこか無理しているようなところがあるんですよね。みんながワイワイしている輪に入りたいけど、恥ずかしくてできない感じとか。やっぱり我慢をしている男って、格好良いと思うんです」と、旋風雄の魅力を分析。
旋風雄が本気になる瞬間。その覚悟を、熱い鼓動とともに描く本作だが、東出も「常に芝居をする上では本気です」と強い眼差しを見せた。「でも今、危機感がすごいあって。悠太郎役や小栗さんの跡を継いだ『クローズ』など、自分がまだ、芝居をそんなにできない内から、多くの人に見てもらえるような役をいただいて。注目度が上がる分、自分の成長が遅かったら、すぐに飽きられると思うんです。とにかく今は、その時、その時の役をしっかりと生きられるように、努力しようと思っています」。
「悩んでは、『やるしかない!』という思いに帰結する」という東出。悩んだ時にリフレッシュとなることを聞いてみると、「友達と遊ぶことですね」とニッコリ。「先日、1日オフだったんですが、ダラダラと友達と過ごしました。領収書の整理をしなくちゃいけなくて、友達が2人とも勤勉な男なんで、手伝ってもらったりして(笑)。あとは、将棋をしたり、『関西弁を使っちゃいけないタイム』とか、そういう縛りを作って遊んだり。でも、悠太郎役をやっていたので、友達がボケると、『なんでやねん!』って言っちゃうんですよ。僕の負けです。くだらないですよね!」。
男らしいたたずまいと、少年のような笑顔。どんなにブレイクしても、飾らない人柄。東出昌大の大躍進は、まだまだ止まりそうにない。(取材・文・写真:成田おり枝)
『クローズEXPLODE』は、4月12日より全国公開。