『惡の華』押見修造氏、毛がテーマのフェチ作品の実写化に「よく大人が許してくれた」
「僕が毛深くて嫌だったことだったり、肌がつるつるの男友達がいて、女の子に触れられていたり、そんなことを思い出しながら描いたんです」と執筆秘話を語ってくれた押見氏。実写化されたことにより、押見氏が描き出したキャラクターは須賀健太、刈谷友衣子という若手実力派俳優が演じることになった。「絶妙なキャストだなって思いました。でも試写で刈谷さんにお会いした時、とりあえず謝っちゃったんです。そうしたら『何で謝るんですか』って(笑)。こんな演技の上手な女優さんに演じてもらったのは嬉しかったのですが、原作者としては(剃毛される役なので)一抹の罪悪感がありましたね」と胸の内を明かした。
映画公開を受け『スイートプールサイド』の読み切り番外編が「別冊少年マガジン」(6月9日発売)に掲載されている。「ノリノリで書きました。最初は登場人物の10年後、20年後を描こうという話になったのですが、映画を受けて、自分なりに毛を剃るシーンをもう1回正面から描いたらどうなるんだろうと考えました。それでマンガで描かれていない夏休みのある一日を取り上げたんです。映画の演出を重ねつつ、映画とマンガの両方を見て楽しんでいただけるようにしたいなと思って描きました」。
今後の作品について「『惡の華』の連載が終わり、全部出し切った感があるので、今は全然違うモードになっているんです。『ぼくは麻理のなか』の連載は続いているので、それをやりつつ、さわやかな作品を描いてみたいですね」と押見氏は含み笑いを浮かべたが、「さわやかと言っても、これまで描いてきた作品も自分のなかでは、人の持つ普通の感情だと思っているので、そのあたりのテイストは変えず、表面的な部分で間口が広いさわやかさみたいな……(笑)」と抱負を語ってくれた。(取材・文・写真:才谷りょう)
映画『スイートプールサイド』は6月14日より全国公開。