及川奈央、探究心から極めたAV業引退から10年「ようやく自分が見つかった」
「監督業のすべてを学び、作品創りのすべてを経験させていただいて、もの創りの楽しさにハマりました。初めて“楽しい”と感じることができ、達成感がありましたね」という及川のもとに、また運命的な出会いが訪れる。後に今回の映『ヲ乃ガワ‐WONOGAWA‐』を手掛けることになる山口ヒロキ監督による携帯配信用ムービー『葬儀屋月子』への、セクシー要素ゼロでの女優出演。そこから演じる事への渇望が生まれた。
「『ファンタズマ』も含めて、それがお芝居の世界を探求してみたいと思ったきっかけです。初めて本当の自分を見てもらえた気がした」と自身の岐路と捉える。以降どんな些細な舞台でも役がもらえるならば、二つ返事で出演を快諾し、女優としてのスキルを磨いてきた。そして2011年、舞台女優の久下恵美と演劇ユニット「類類~Lui Lui~」を結成。自らが主宰となって、大好きな作品創りをし、舞台女優として充実した日々を送っている。
今年は、AV引退後10年という節目。「私はいつでも辞めていい、この業界には未練はないと思ってきましたが、もう少しだけ“及川奈央”としてのネームバリューを借りて、旅を続けていきたい」と前を向く及川は「それは、ようやく自分が見つかったという実感があるから」と噛みしめる。あてのない旅かもしれないが、及川は進むべき道を着実に見つけている。
映画『ヲ乃ガワ‐WONOGAWA‐』は11月1日より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開。