鬼才クローネンバーグ監督が語る「日本への思い」
となると、日本を題材にした映画製作への期待は高まる。「実は僕が初めて書いた『Consumed(原題)』という小説には、日本人のキャラクターが1~2名出てくるし、東京でのシーンも長く描かれているんだ。東京には奇妙な親近感がある。僕には日本語は難しすぎるけれど、不思議なことにアットホームに感じる言語なんだ」と、日本に対する思いを打ち明ける。
しかし、そんな思いの傍ら「過去に一緒に仕事をしたプロデューサーが映画化をサポートしたいという話があった。でも途中で気づいてしまった。小説で完結しているものを、さらに映像で価値のあるものだと証明するのは意味のないことだとね」と胸の内を明かしたクローネンバーグ監督。ただ「別の監督がやりたいと手を上げれば分からないけれど」と可能性があることを示唆した。
一方、「初めて続編を作りたい」と思ったという映画『イースタン・プロミス』については「ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)がロシアに戻った後の物語ということで脚本も用意してあったけど、様々な事情でプロジェクトはなくなった。続編を作ることは絶対ありません」と完全否定。「今は小説執筆が最大の楽しみ」と語ると共に「映画はよっぽど素晴らしい企画じゃないとね」とファンにはちょっと寂しい展望を打ち明けた。(取材・文:才谷りょう)
映画『マップ・トゥ・ザ・スターズ』は12月20日より全国公開。