『ジュラシック・ワールド』ヒロイン、ハイヒールアクションは“総合格闘技”仕込み
映画を観れば一目瞭然だが、恐竜の猛追を振り切る驚異の脚力は、ハイヒールを履いているなんてウソのよう。これに対してブライスは、「特別な訓練はしなかったけれど、足首だけは強化した。MMA(総合格闘技)のピート・ウィリアムスを招いて、武道で培った本格エクササイズを徹底的にやったおかげでケガは一度もなかったわ」と胸を張る。
襲われる人間が、ただ叫んで逃げるだけでは、恐竜映画といえどもシラけてしまう。「観客が自分を投影できるキャラクターにしたかった」とブライスが言うように、映画を観ながら「逃げて!」と応援したくなるのは、クレアが窮地に立たされながら徐々に人間性を取り戻していく姿に共感するからだ。と、突然、「ちょっと待って。いま気付いたけど、クレアはオーウェンに助けられたこと、あったかしら?」と首をひねるブライス。
確かにオーウェンが手を差し伸べても自力で走り去り、逆に彼が恐竜に襲われる寸前に銃をぶっ放し、命を救っていたりする。「でも、オーウェンはとても勇敢で心が温かい人。彼を演じたクリスもね。もし地球滅亡の日が来たら、クリスの家に逃げ込むわ」と共演者を称える余裕も見せた。働く女性の底力、恐るべし。
『ラッシュ』『アポロ13』など、数々の名作を世に送り出した名監督ロン・ハワードを父に持ち、「小さな頃からセットが遊び場だった」という生粋の映画人ブライスは、短編映画の監督やプロデューサーもこなす才色兼備。「今後も女優業は続けるつもり」としながらも、父の遺伝子が疼くのか、「いつか長編映画も監督してみたい」と大きな瞳を輝かせていた。(取材・文:坂田正樹)
映画『ジュラシック・ワールド』は8月5日より全国公開。