清水崇監督、ハリウッドの現場は「一長一短」 敬語なし&日本の根性論も通用しない
例えば、セットやロケ現場。「飛行機は、スタジオに油圧式ポンプでグラグラ動くセットを作って撮影したのですが、デザインしたのは元パイロット。ハリウッドでは自分の専門分野を映画業界に生かしている人がたくさんいる。1つの世界に留まらないところが素晴らしい」と称賛。さらに、「日本はなかなか撮影許可が下りないけれど、向こうはお金を払って許可を取れば、警察も協力してくれる」とうらやましがる。
一方、作業の面では、「向こうは労働基準や組合もしっかりしていて、人としての暮らしが守られているので、根性論など通用しない。敬語もなく、分業社会なので、自分の仕事が終わると、周囲がどんなに忙しくても知らん顔、足を組んでコーラを飲んでいたりする(笑)。でも、これは日本の現場じゃ通用しない。黒澤明監督の組でも、あるパートが遅れるとみんなで手伝って何とかしようと協力し合っていたようですが、そこは日本人の美徳」と指摘する。
恐怖描写では、スタッフと意見が合わないところも少なからずあったという清水監督。今後もハリウッドでホラーを撮る予定はあるのだろうか。「なかなか面白い企画を提供されないが…面白いと思える企画があれば、どこへでも。特にホラーに限らず。『魔女の宅急便』の時に“真逆”だねと言われたけど、ホラーもファンタジーの一部だと思っているので、僕の中で区分けはない。いずれも王道な娯楽描写だし、“笑い”と“恐怖”のように表裏一体で必要不可欠な要素」と吐露。
ただ、最近、(『呪怨』の主人公である)伽倻子と俊雄が映画館のもぎりをしたり、ダンスを披露したり、プロレスに参戦したり、ホラーを超えた宣伝パフォーマンスには「そんな事してるんですか?もう僕の手から強引に剥ぎ取られたシリーズなので何とも言えませんが…正直、最低ですね。どこまで過去の栄光にすがりつくつもりでしょう(苦笑)。僕は無関係です」と生みの親として複雑な心境をのぞかせた。