樋口真嗣監督、今だからこそ話せる実写版『進撃の巨人』製作秘話を告白

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去年、邦画最大の話題作として注目を集め、ヒットを飛ばした『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』が続けてリリースされる。今回、両作のメガホンを執った樋口真嗣監督を直撃。「広い世代から、そして海外からも注目されて、ありがたいことです」と口を開く監督が2部作を振り返る。
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「簡単にできるようなことは好きじゃない」と自らの資質を語る監督。「まず自分が観たい作品に関わりたい。不幸の始まりですが(笑)。しかも俺は作品に関わる周囲を巻き込んで、不幸をまき散らしていくタイプらしくて(笑)」とうそぶきながら、「それにしても『進撃の巨人』は簡単じゃなさすぎた」と吐露した。「これまでの自分の作品は、あの時代の人が着ているものはこれが正しいとか、この職業の人はこうじゃなきゃおかしいとか、図書館に行けば正解がわかるタイプの作品が多かった。でも今回はキャラクターにしても、彼らが住んでいる場所も、赴く場所も、全部手を加える必要があった」と振り返る。
しかし苦労して作り上げた作品で、主演の三浦春馬をはじめとし、素晴らしい役者たちと出会えたと頬を緩ませる。「スタッフもそうですが、キャストがみんないいチームでしたね。親と子くらい離れている若い子たちとやれて、彼らの前向きさに自分の背中を押される部分もあった。一緒にやれて本当によかった。特によく覚えているのが、後篇のエレンとシキシマの殴り合い。アニメや舞台では、会話を軸としながら、お互いに殴り合いを繰り返すという展開はあるけれど、意外と日本の映画では殴る蹴るだけになっていたりする。セリフは『うわ~』とか『このやろー!』とかだけだったりしてね。でも俺は場面の最後に向かって感情を乗せて、きちんとセリフを言いながらのアクションを、映画として成立させたかった。言うのは簡単だけど(笑)。その要求に三浦くんと長谷川(博己)くんがきっちり答えてくれた。嬉しかったですね」。
水原希子が演じるミカサのあるシーンも、何度も観返してしまうとか。「後篇で、仕掛けた爆弾が爆発しないといって、ミカサが飛び出していく場面。あそこ、ミカサは何も考えずに飛び出しているので、結局おろおろすることになる。でもそのしぐさがものすごくかわいくて。個人的に大好きなシーンです(笑)」。
パッケージ化に向けては次のように気持ちを述べた。「手にした喜びってあると思うんですよ。作品を自分のものにできる。棚にすっと入れる感じ(笑)。あいうえお順にちゃんと並べてね。俺はやりますよ、ひとりDVDショップ。こういう習慣を持っているのは自分たちの世代が最後かもしれませんが、若い人にも、ぜひ作品を手にする喜びを知ってほしい。映画という泥沼にハマる第一歩としてね」。
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』は2月17日、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』は3月23日にブルーレイ&DVDが発売される。(取材・文・写真:望月ふみ)