賀来賢人「泥臭くシビアな世界」 俳優業の厳しさを実感するも“天職”だと確信
清高役の野村については、大いに刺激を受けたようで、「自分だったら絶対やらないことをいっぱい仕掛けてくるので、凄く楽しかった。発想とセンスの良さを感じました」と絶賛。「アドリブはないんですが、“え?台本をそう捉えるのか?”みたいな。僕は受けの演技だったんですが、その絶妙なズレがとにかく面白い」と自信をのぞかせる。さらに、「清高と轟木のなんとも言えない距離感が好きで、友達なんだけど、深く知らない。知らないけれど、居心地がいい。男特有のベタベタしない友情がとっても可愛いので(笑)、ぜひ女性にも観てほしいですね」とアピールした。
2010年公開の『ソフトボーイ』でタッグを組んだ豊島監督と約5年ぶりに再会を果たした賀来。「1本芯が通った、成長したな」と声を掛けられ、気負っていた心が一気にほぐれたという。そもそもドラマ『木更津キャッツアイ』に憧れ、華やかな役者の道を目指したという賀来だが、「想像以上に現場は泥臭く、シビアな世界だった」と本音を吐露。
「当時は誠心誠意、作品と向き合っていなかったので、悔しい思いばかりだった。でも、それは今も同じ。その時の自分の立ち位置によって、何かしら悔しい思いがあるので、一生満足することはない」と表情を引き締める。それでも、「何一つ成し遂げたことがない飽き症の僕が、今も続いているんだから天職なのかもしれない」と一人頷く賀来。俳優という仕事に、心底、手応えを感じているようだった。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『森山中教習所』は7月9日より全国公開。