橋本愛、「勝負する気持ち」 オリジナル作品で得た自信
「これだけ素直に受け入れて、これだけ受容だけをしたまま生きていて、手紙がふとこなくなった瞬間から、紀子が二本足で立っている想像ができなかったんです。そこを払拭したいと思いました。思春期に自我を持つことや、お母さんの存在にぶつかることがあるのはとても健全なことですよね。そういう感情があるほうが、より紀子の人生を浮き彫りにできると思いました」と、橋本ははっきりと意図を説明してくれた。確かに、母への愛情とコンプレックスがないまぜになり、爆発するようなシーンがあることで、ストーリーとキャラクターにより一層の厚みが出る。そうして、物語は一気にラストへと走り抜けるのだ。
橋本は、さらに続ける。「私自身、こういった王道の物語みたいなものは、今までほぼほぼやってこなかったんです。これだけ一人の女性の半生を生きることもなかったので、その責任はすごく重く受け止めていました」。自分が受け取った作品への責任と愛情は、まぎれもなく、橋本にとって大きな財産となったはずだ。橋本は、「オリジナルで、ここまでやれることを示したい気持ちがあるし、王道をすごく丁寧にやったという自信があります。景色や役者やスタッフの力で、すごく豊かに膨らんだ映画を観てほしいです」と、たぎる思いを込めていた。(取材・文・写真:赤山恭子)
映画『バースデーカード』は10月22日より全国ロードショー。
衣裳クレジット:キワンダ キワンダ、デプト、マヌカンズジャポン