是枝裕和監督インタビュー、これまでにない“生みの苦しみ”を感じた『三度目の殺人』
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『そして父になる』でもタッグを組んだ福山は、「多分、役所さんとのお芝居をすごく楽しんでいました」とのこと。「(重盛が三隅とガラス越しに会う)接見室のシーンは、撮っている間に、『ああ、すごいものが撮れている』という風にセットにいた皆が感じていて、ちょっとざわざわしていたので、それはご本人も分かったんじゃないでしょうか。その気持ち良さは、僕がというよりも、役所さんとの関係の中でだと思います。今回は良い経験をされたと思う」。そう語る表情は、監督としての充実感に満ちていた。
「弁護士の仕事をきちんと描くこと」「『人は人を裁けるんだろうか?』という大きな問い」を重視したという是枝監督は、本作を携えて第74回ヴェネチア国際映画祭に赴く。デビュー作『幻の光』以来、22年ぶりに監督作がコンペティション部門に出品される同映画祭を前に、「この映画で何が達成できているかは、ちょっとまだ分からないです。ただ、苦しんだ分、納得感はあります」と胸中を明かす是枝監督。果たして、邦画界を背負う監督の最新作は、世界の映画人にどう受け止められるのか? いち映画ファンとして目が離せない。(取材・文・写真:岸豊)
映画『三度目の殺人』は9月9日より全国公開。