佐藤健 「見たことのあるアクションは1秒もいらない」 『亜人』で挑む新境地
そのためには「腹を割って話し合えるチームが必要だった」と告白。アクションチームには、『るろうに剣心』を創り上げたスペシャリストが集ったが、佐藤は「圧倒的な信頼があります。もうこれで大丈夫だろうと思えるチーム。相手役の綾野さんも、『るろうに剣心』で共演した後、プライベートでお会いすることもあって。もともと知っていて、信頼関係もある綾野さんが相手で本当によかった」。最強チーム一丸となり、前人未到のアクションを作り上げた。
ダンスや少林寺拳法で培ったキレある動きで、アクションにも定評のある佐藤だが、本人は「アクションが得意分野だとは思っていない」と意外な言葉を口にする。「人並みより動ける自信はありますが、“アクションなら絶対に自信がある”とは言えない。いつでもアクションができるように動けるようにしていたいとも思うし、身体能力が武器として使えたこともあるけれど、それを仰々しく掲げるつもりもなくて。“武器になる瞬間があればいいな”というくらい」。
俳優としては「色々なものをやりたい」と思っているそうで、その言葉通り、次回作には感動の実話を映画化した『8年越しの花嫁 奇跡の実話』が控えるなど、カラーの違う作品にトライしている。作品選びにおいては「自分の心が素直に動くもの」を大事しているという佐藤。特技を猛アピールすることもなく、心に従ってどんなことも懐深く受け止めるような頼もしさを感じるが、「どんとこいというタイプではないですよ。僕は勝てる自信がないとやらないタイプだと思います」と笑う。「でもその自信の持てる範囲が増えてきたり。今回のように、自分でより能動的に動けば作品づくりに深く参加できる環境にいられるようになった。それは本当にありがたいことだし、今とても楽しいです」。高みを目指し続ける、頼りがいある男。今後のチャレンジにも目が離せない。(取材・文・写真:成田おり枝)
『亜人』は9月30日より公開。