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舘ひろし、渡哲也の言葉「お前には華がある」を信じて駆け抜けた俳優人生

エンタメ

 そして、苦労の末に出来上がった有馬というキャラクター。そこには、ハーレーも、ショットガンも、トレードマークのサングラスもない。「熊切監督が要求するのは、定年前のヨレた感じの爺さん刑事。頭には寝癖、無精髭は伸ばしっぱなし。シャツは半分出ているし、スーツもヨレヨレで安っぽい。こんな刑事役、今まで求められたことがなかったので、最初は躊躇しましたが、演じているうちにだんだん面白くなってきて。ここまできたらとことんやってやろうと腹が決まった」と胸の内を明かす。

 高田の脚本からも「筆力の強さを感じた」という舘は、有馬の内面を自分なりに咀嚼し、役をさらに深めていく。「有馬は、とにかくまっすぐで感受性が強く、のめり込むタイプ。それゆえに、冤罪を犯してしまった過去の自分が許せない。彼にとって、そこが人生の“定年”であり、あとは流されるままに生きてきた。ところがある日、魂が救われるような“事件”が起こり、そこで有馬は再び立ち上がるんです」と熱弁を振るう。

 まさに“マイナス”の転機と“プラス”の転機がドラマを生む劇的な人生。舘自身も少なからず、人生を決める2つのターニングポイントがあったと自らの過去を有馬に重ねる。「親が医者だったので、すごく期待されていたんですが、医学部の受験に失敗したことで“医者なれない”という現実を突きつけられた。それが最初の転機でしたね。あとはもう“どうにでもなれ”という人生。俳優になるつもりもなかったけれど、流れ流れて気づいたら、50年近くもこの世界にいた」と吐露。

 流された先がスター俳優という、一般人の我々には信じられない流浪の旅だが、そこにはやはり、進むべき方向の舵を取る大きな出会いがあった。「僕の場合、芝居の基礎を学ばずにこの世界に入ったので、ファンダメンタルズが弱く、地に足が着いていなかった。そんなときに、渡(哲也)だけが“ひろし、お前には華がある”と言ってくれて…。僕はその言葉だけを信じてここまで歩んできたように思いますね。土台がないというコンプレックスは、いまだにあるんですが、渡の言葉がいつも支えになってくれた」と、人生の師・渡への思いをしみじみとかみしめた。(取材・文・写真:坂田正樹)

 『連続ドラマW 60 誤判対策室』(全5話)は、WOWOWプライムにて5月6日より毎週日曜22時放送(第1話無料放送)。

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