『anone』、映画『万引き家族』蒔田彩珠、女優への“道”
「10歳のとき、『ゴーイング マイ ホーム』というドラマで初めてちゃんとお芝居をさせていただいて。その時、『お芝居ってこんなに楽しいんだ』って思ったんです。そこから今まで私、お芝居をしていて嫌な気持ちになったり、嫌な現場を経験したことがないんですよ。運がいいのかもしれません(笑)。だから、『好きなことを毎日やってる』っていう感覚なんです」。
そして「このお仕事をずっと好きでいたいからこそ、新しいことにはどんどん挑戦していきたい」とも。それは“子役”から“女優”への階段を上る中で、その挑戦が自分にとって必要なものであることを実感しているからだ。
「今までは、周りの俳優さんが自分に合わせてくれたことが多かったんですね。でも最近になって、ちゃんと自分も周りの方のお芝居を“受け取って返す”というのが必要なんじゃないか、と感じるようになって。自分から積極的にコミュニケーションを取って、お芝居をキャッチボールしていかなきゃいけないな、って」。
この意識の変化はやはり、映画『志乃ちゃんは~』の体験が大きかったよう。
「ダブル主演だったんですけど、同年代の子たちと一緒に、自分たちが中心になって作品を作ること自体が初めてだったんです。そこで大きく意識は変わったような気がします」。
実は蒔田はこの『道』のオーディションの際、ギターを持参して「あの素晴しい愛をもう一度」を歌ったという。映画の中でもキーとなる重要な曲であり、猛練習の末撮影に挑んだというこの曲が、彼女の次の“道”を開くことになったというわけだ。
「俳優の仕事って、現場が変われば演技も感情もガラリと変わる。新しいことを経験し続けていけるという他にない職業ですし、そこが好きなんです。だから“お仕事をしている”というよりも、“好きなことをしている”という今の感覚でずっと続けていくことができれば。それが理想です」。
大作への出演が、彼女を確実にまた成長させてゆくに違いない。そんな彼女の記念すべき初舞台、しっかりとその目に焼き付けたい。(取材・文・写真:川口有紀/スタイリスト:岡本純子/ヘアメイク:石川奈緒記)
音楽劇『道』は、12月8日~28日まで東京・日生劇場にて上演。