伊藤沙莉、自分でかけた容姿の“呪い” 「少しずつ解けているのかな」
しかし、一方で最近は「身近にいそうだよね」と声をかけられることが「得だな」と思えるようになったという。「今回のりほちゃんもそうですが、私がいただける役は、観ている方に『いそうだよね』と親近感を持っていただくことも大きな役割だと思うんです。その意味で、しっかり役に寄り添うことができれば、自分にも自信が持てます。まだまだですが、役を通して、少しずつ呪いが解けているのかなと感じることがあります。自分でかけた呪いは自分で解くしかないですからね」。
近年の活躍は目覚ましいが、伊藤は「まだまだ手応えはないんです」とつぶやく。確かに俳優の仕事には分かりやすい結果が出るわけではない。「何が正解か分からないのはもちろんなのですが、何が手応えなのかも分からない」と苦笑い。でもそのことをネガティブには捉えていない。「お芝居に対しては満足してしまったら終わりだと思うんです。いまだに出来上がった作品の初号試写を観ると絶望感で、できることなら誰とも会わないで帰りたい(笑)。でもお芝居は突き詰めていくものだと思うし、自分に甘くいる必要もないですから」とストイックだ。
呪いを解いていくことで、身体も心も身軽になっているという伊藤。しかし重荷だと思っていたことも、視点を変えれば意外と大事な荷物だったのかも…と思うときが来るかもしれないという予感もあるという。自らがいろいろなことを感じ、経験することすべてが芝居につながる。「一生満足しないかも」という言葉が出てくるのは、伊藤が芝居という人生をまじめに真剣に生きているからなのだろう。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)
映画『生理ちゃん』は11月8日より全国順次公開。