中山美穂、音楽活動再開への思い「やっとここまでたどり着いた」
■軽やかなシティポップで新たな魅力が開花
―今回のアルバムは、とても軽やかで、中山さんの歌声に合わせた聴き心地のいいシティポップに仕上がっていました。高田さんにアレンジをお願いした経緯を教えてください。
アルバム『Neuf Neuf』12月4日発売<初回限定版>
私の中でアルバムを制作するときに、どこか懐かしさも感じられるけど新しい音楽をイメージしていました。そして、レコード会社の方に薦められて高田さんの新しいアルバムを聴いた時に「これだ!」と思ったんです。実際にお会いした時も、高田さんが「シティポップみたいな感じでやりたい」とおっしゃっていたので、思いが合致した感じでした。
―セルフカバー、新曲と計8曲収録されていますが、曲選び、構成などはどのような流れで決まったのでしょうか?
最初からガチガチに構成が決まっていたわけではなくて、1曲1曲選びつつ、やりながら流れを作っていった感じですね。セルフカバーに関してはスタッフ全員で一生懸命考え抜いて4曲(「C」「色・ホワイトブレンド」「You’re My Only Shinin’Star」「ただ泣きたくなるの」)を選びました。マストな感じの曲でもある「世界中の誰よりきっと」が入っていなかったりしますが、そこは「あえて」というか…。
―セルフカバー曲はアレンジがかなり違いますが、久々に歌ってみてどんな気持ちになりましたか?
カバーというよりも、新曲を歌っているような感じでした。懐かしいという気持ちは全くなかったですね。十代の頃から割と大人っぽい曲を歌っていたので、今聴いても、今歌っても、ぜんぜん違和感がないというか。でも、レコーディング自体は大変でした。20年も経つと、スタジオや技術も変わっているし、私自身も昔のように「やり切りたい」「出し切りたい」という焦りも出てきて…。高田さんからOKが出ても、自分自身で納得がいかないと「もう1度、録り直したい」と直訴することもありました。
―新曲の「時計草」では作詞にも挑戦されていますが、何か特別な思いが込められているのでしょうか?
時計草という花が大好きで、なぜか見ているだけでイマジネーションが湧いてくるんです。ただ、歌詞自体に何か特別な意味を込めているわけではなくて、むしろ、メッセージ性の強いものは避けたかったんです。だから、「音」として言葉を気楽に楽しんでいただいたり、聴いてくださる方それぞれの思いで解釈していただいたり、自由に捉えていただいていいと思います。
―「君のこと」という曲は、3月のライブでも歌っていますよね。この曲はどういう経緯でできたのですか?
お仕事とは全く関係なく、歌詞を自分で書いたり、お友だちのミュージシャン に作ってもらったり、ライブの予定もないのにバンドメンバーを集めてリハーサルをしたり、プライベートでは音楽を続けていたんです「君のこと」もその流れの中で、3年くらい前に忘れらんねえよの柴田(隆浩)くんに作っていただいた曲なんです。
もともと私が出演した舞台『魔術』(2016)の客入り、客出しの時に、忘れらんねえよの曲がずっと流れていて、すごく気に入って。そこから親交が始まったんですが、とても温かい曲を書いてくれまして、ライブで歌ったのですが、それがまたすごくよくって。ぜひ、今回のアルバムに入れたいなと思いました。