木村拓哉、“教場”を通じて注いだ「全力の愛情」 “教え子”たちとの絆を明かす
「“中江教場”出身の木村拓哉です」――。
最初の顔合わせの場で開口一番、木村はそうあいさつしたという。“教場”とは警察学校で学級を意味する言葉。
本作の演出・中江功は、20代前半で木村が出演したドラマ『若者のすべて』以来、『眠れる森 A Sleeping Forest』、『空から降る一億の星』など数々のヒット作を共に世に送り出してきた、木村にとっての“教官”である。
冗談めかしつつ発した言葉からも、木村の強い思いがうかがえるが、同時にそれは、中江の現場の“先輩”として、若手俳優たちを導いていくという強い決意の表れでもあったのかもしれない。
撮影前、生徒たちの所作訓練が行われたが、木村はわざわざその見学に足を運んだという。
「炎天下でみんな『気をつけ』『休め』を繰り返すだけで脱水症状を起こすんじゃないかってくらい汗をかいているんです。自分はやることもないまま『大変だな』と傍観していたんですけど、見ているうちに『(自身のあり方が)ちょっと違うな』と思って、スタッフに連絡して風間の衣装を全部用意してもらったんです」。その後、衣装に袖を通した木村は、生徒たちのもとへ歩み寄り、訓練の状況を尋ねることもあった。
そんな“木村教場”とも言うべき教官と生徒たちの関係は、その後の撮影の現場でも続いた。「学級長が『起立』と言ってみんなが立つんだけど、『いま遅れたよな? やり直し』って監督がカットを掛けなくともやっていました。台本という設計図、それぞれに与えられた役と設定がありつつ、その役になった上でドキュメンタリーを撮っているような感じでした」と明かす。
木村がどんな姿を見せてくれるかという期待はもちろん、“木村教場”を経験した若き俳優たちがそこで何を得て、この先の道をどう歩んでいくのか? 楽しみがまたひとつ増えそうだ。(取材・文:黒豆直樹)
フジテレビ開局60周年特別企画『教場』は、フジテレビ系にて1月4日、5日2夜連続で21時より放送。