二階堂ふみ、役を通じて「好きな人の未来を応援したい気持ちが育っている」
――古山裕一さん(窪田正孝)との夫婦関係についてはいかがですか。
2人は世間一般の結婚像とか夫婦像にとらわれていないんです。どちらかがが支えるだけの関係ではなく、ちゃんとギブアンドテイクをしていて支え合っているところがいいなぁと思っています。音さんが愛する旦那さんのために一生懸命料理作りに奮闘する姿や、リアルな財政事情も含めて、2人が補い合っている姿はいいなぁと感じています。今後は生活を共にして、2人の関係性がもっと濃密になってくると思います。それまで個人と個人が支え合っていましたけれど、今度は本物の家族になっていく瞬間が出てくると思いますので、それは楽しみですね。これまでとは違うまた新しい感覚が生まれてくることに期待しています。
ついに結婚生活がスタート(C)NHK
――共演者とのシーンで印象に残っていることは?
関内家の三姉妹はみんな個性がバラバラで面白いんですけど、朝ごはんのシーンで、本当にみんな遠慮なく食べるんです(笑)。カットがかかった後も「これおいしいわねえ」「そうですねえ」と言いながら。すごく家族らしくていいなと思いました。姉・吟役の松井玲奈さんや、妹・梅役の森七菜さんとも現場でも仲良くさせていただいています。私は一人っ子なので、もし姉妹がいたらこんな感じなんだろうなっていうのを感じながら、楽しく演じさせていただいています。
――母・光子を演じる薬師丸ひろ子さんについてはいかがですか?
光子さんはとても強い女性で、その上で女性が生きていくことの大変さを子どもたちに見せてくれるお母さんです。きちんと厳しさを示しながらも、それ以上の愛と優しさでその場を包み込むその姿に、教えていただいたことがたくさんありました。音さんにも、光子さんの強さと優しさが受け継がれているのではないかと感じるところがあります。裕一さんと出会ってからそれらが花開いていくとしたら、その根の部分にあるのは、関内家での暮らしだと思っています。これからの音の変化にも注目して見ていただけたらと思っています。
姉・吟を松井玲奈、妹・梅を森七菜、母・光子を薬師丸ひろ子が演じる(C)NHK
――実在の人物を演じる上で大切にしていることがあったら教えてください。
(音のモデルになった)金子(きんこ)さんが古関さんと実際にやり取りされていた手紙を読ませていただいたり、録音された歌声を聞かせていただいたりしました。録音されている声が、とにかく楽しそうに弾んでいて、すごく印象的でした。本当に歌うのがお好きな方だったんだなと思って。それが音さんと金子さんをつなぐものなので、そういった部分はすごく大事にしながら演じています。
――子ども時代を演じた清水香帆さんの印象は?
すごくしっかりしてますよね。子ども時代の裕一と音が初めて出会う教会のシーンを少し見学させていただいたのですが、2人のバランスがとてもかわいいなって思いました。子ども時代の音を、すごくはつらつと、すてきな笑顔で演じてくれたので、そんな子ども時代が思い浮かぶようなキャラクターを演じていきたいなと、あらためて思いました。
――豊橋ロケで印象的だったシーンについて教えてください。
豊橋の夏祭りのシーンが印象に残っています。伝統の手筒花火もすごかったですし、今回、地元の皆さんがエキストラとして参加してくださって、11月だったんですけど、夏の衣装で頑張っていただいたんです。地元の皆さんの雰囲気で、ああ、豊橋ってこういう場所なんだなあ、と感じて生まれてくるものがあるので、作品ゆかりの地で撮影するのは楽しいです。あと、やっぱり海ですね。海とか山とか自然って、当時と変わらないものなので、この海を金子さんは見ていたのかなと考えたり、その後の演技に生かせる部分がありました。