『大豆田とわ子』は「独りじゃないと思えるドラマに」 佐野Pが語る“制作秘話と最終回”
女優の松たか子が主演を務める連続ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系/最終回は21時30分)は、大豆田とわ子(松)が三人の元夫(松田龍平、角田晃広、岡田将生)に振り回されながら奮闘する姿を描いたロマンティックコメディー。『カルテット』(TBS系)などで知られる坂元裕二が脚本を務め、読めない展開や心に刺さる名言などが、SNSなどを中心に話題になっている。そんな本作のプロデュースを務めた佐野亜裕美氏に、第2章のキーマンとも呼べる小鳥遊大史(オダギリジョー)の誕生の経緯や、ドラマづくりへの思い、15日に迎える最終回のヒントなどを聞いた。
【写真】佐野Pが「気張らずに楽しんで」という『大豆田とわ子』最終回
■一人でも独りじゃないと思えるドラマに
“ひとりで生きたいわけじゃない。”をキャッチコピーにした本作は、コロナ禍で生まれた作品だった。新型コロナウイルスに感染し、家族がいながらも一人で亡くなっていく老人の映像を見た佐野氏は、“一人で生きていくこと”の意味を見つめ直したという。
『大豆田とわ子と三人の元夫』第10話より (C)カンテレ
「“一人で生きていくこと”というと、どうしても独身などといった戸籍上や家族を持つという観点から物理的に“一人”であると考えてしまいがちですが、家族がいても最期は一人だったり、一人でも人と人とのつながりの中で生きていたりとさまざまな“一人”があります。この作品は、特定の社会的地位やステータスや婚姻関係における“一人である人”を描いたわけではなく、一人で生きていても独りじゃないと思えるドラマにしたいという思いから生まれました」。
■実は別設定があったオダギリ演じる“小鳥遊”
人生において、それぞれの中にさまざまな形の“一人を感じる瞬間”が間違いなくあるはずだ。とわ子も、物語の中で一人を実感せずにはいられない出来事に直面する。親友の綿来かごめ(市川実日子)が突然亡くなり、またその1年後には、同居していた娘の唄(豊嶋花)も、高校進学を機に家から出ていくことになった。そこから始まる第2章で登場したのが、オダギリ演じる小鳥遊大史という人物。佐野氏は小鳥遊を「とわ子をかごめの死からすくい上げてくれるキャラクター」として、最初から登場させる予定だったと語る。
「まず坂元さんが小鳥遊のイメージを作って、そこからオダギリさんにオファーしました。さらに配役が決まった後も、オダギリさんが演じることを考慮した上でキャラクターを練っていきました」。そしてできあがったのが、数学好きで、とわ子が社長を務める「しろくまハウジング」を買収した外資系ファンドの責任者という設定。そこにたどり着くまでは試行錯誤があったようで、「数学好きの前はきのこが好きという設定もありました。でもきのこについて調べてもあんまり会話を広げていける要素を見つけられなくて…。『今回は違いますね』となってやめました」と佐野氏は明かす。オンとオフの差が激しすぎることからSNS上でも「怖い」と話題になった小鳥遊の設定も、坂元との話し合いを経て肉付けされていったとのこと。