賀来賢人、初の医師役に苦闘 リアリティーあふれる現場で生まれた“価値観の変化”
◆“手術ができるレベルの知識量”鈴木亮平から送られた参考動画に驚き
患者の命を優先して突っ走る喜多見と冷静沈着な音羽は、真逆ながらも最高のバディとして命に向きあっていく。相方役の鈴木とは一度共演経験はあるものの、ガッツリ芝居をするのは今回が初。鈴木の印象を聞くと「ストイック」と断言する。「すごく勉強して、ご準備をされてきていて。体の構造などは全部把握しており、本当に手術ができるレベルに到達されていると僕は思ってます。通常プロの方が吹き替えする手元も、今回は自分たちで演じていて、亮平君は全部できちゃうんです。知識が豊富で『何でも聞いてください』というスタンスでいてくださるので、僕達も分からないことがあったら亮平君に聞いています」。
バディとしての相性の良さも感じているそうで、「亮平くんはすごく頼れるお兄ちゃんと思えば、チャーミングな一面もあって。シリアスなシーンが多い分、合間は和気あいあいと冗談を言いながらやっていますが、締める部分はお互い自然としっかり締める。一緒にいい作品を作ろうという思いは一致しています」と白い歯を見せる。
ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』より (C)TBS
意外にも初の医師役となる賀来。事前に先生に話を聞き、所作や専門用語を頭に入れ臨んだそうで、「まず現場に行ったら何をすべきか、どういう居方をすればいいのか、基本的なところを現場にいる医療監修の先生方に聞きながらベースを作っていきました」と回顧。
本格的な医療シーンが見どころの本作において、専門的で高度なオペシーンにも挑むが、「所作は練習するしかないので、そのシーンは事前に早く入り、なるべくうまく見えるよう練習していますし、亮平君に教えてもらったりしています。先日は、亮平くんがある手術シーンの参考動画をLINEで送ってくれて。その動画は体の内部が映っていますし、サムネイルの画像にも内臓が。亮平君は慣れていてなんとも思わないみたいですが、僕はちょうどその時にお寿司を食べていたので、そっと閉じました(笑)」とほほ笑ましい(?)エピソードを披露する。
◆「普通のお芝居が楽に感じる」初の医師役に苦闘
今作は医療従事者の全面バックアップもあり、鈴木を筆頭に現場は嘘なくやろうという意思が強く、賀来が「大変です。普通のお芝居が初めて楽に感じました」とこぼすほど、リアリティーを追ったものに。「監督がOKを出しても、先生が出さないこともあります。僕は手先が不器用なので所作は苦戦しています。この症状ならまずどこに目がいき、次にどこを触るのかなど、事細かに決めていて。根詰めてやっているので、医療シーンが一番緊張します。実際の現場はスピード感もあり、僕達もできる範囲でやっているので、それが画に出てればいいなと思います」。
ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』より (C)TBS
医者を演じることで新たな気付きもあった。「医療従事者や救急隊の方の命をかけて人を助ける、そのモチベーションや仕事への向き合い方は本当に尊敬します。実際の現場では、命の選別をしないといけないことも多い。あまりに酷なことだと思いますが、その中で日々闘われていて。最低限のリスクで多くの人を救うことを当たり前に毎日されている方が世の中にいるのを知り、価値観が変わりました。視聴者の方にそれを知ってほしいので、嘘なく一生懸命やるしかないです」と決意する。
ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』より (C)TBS
人を救う作品だが、俳優を続ける中で救われた存在を聞くと、「俳優を辞めようと思っていた時期に、お世話になった演出家や先輩方から『もっと頑張れば、いつか日の目を浴びる時が来る』と言葉をかけてもらって。そういう出会いに感謝していますし、いつか恩返ししたいと常に思っています」とりりしい表情を見せる賀来。周りの人への尊敬の念、また変幻自在の演技力で、今作で新たに挑む難役も自分ものとし、視聴者を魅了してくれるに違いない。(取材・文:高山美穂)
日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』はTBS系にて毎週日曜21時放送。