俳優キャリア20年・塚地武雅が語る 「人力舎」芸人が演技で注目される理由
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NHK朝ドラ『おちょやん』や現在放送中のドラマ『緊急取調室』第4シーズン(テレビ朝日系/毎週木曜21時放送)、さらに加賀まりことの共演で老いた母親と自閉症の息子の物語を描いた映画『梅切らぬバカ』が年内公開と出演作品が途切れないお笑いコンビ、ドランクドラゴンの塚地武雅。近年俳優業で活躍する芸人を多く輩出する芸能事務所「人力舎」の中でもいち早く演技の世界で評価された塚地に、芝居を始めたきっかけや自身が芝居で求められる役割、“人力舎芸人の強み”について聞いた。
【写真】優しい表情でほほ笑む ドランクドラゴン塚地武雅
■『はねトび』のオタクコントがきっかけで月9ドラマ出演
――塚地さんがお芝居を始められて20年近くになりますが、最初のきっかけは何だったのでしょうか。
塚地:ドラマや映画にちょこちょこ出演させていただくようになったきっかけは、『はねるのトびら』(フジテレビ系)でロバート・秋山竜次とやっていた「ネットアイドル命 MUGA様とおーたむSAN」というオタクコントなんですよ。それを若者たちがマネするなど、ちょっとしたブームになって、フジテレビの月9のプロデューサー・鈴木吉弘さんと監督の中江功さんから「コントキャラのまま出てほしい」と言われ、松たか子さん主演の『いつもふたりで』(2003年)に同僚役で出ました。それから、佐々木蔵之介さんと兄弟を演じた映画『間宮兄弟』(2006年)も、森田芳光監督が僕らのコントのネタを『エンタの神様』(日本テレビ系)で観て、僕にオファーしてくださったそうですから、これもコントの延長線上ですね。
――コントの延長線上だっただけに、スムーズにお芝居に入れたのでしょうか。
塚地:それまでにテレビコント番組をやっていたことが大きかったと思います。たぶんネタだけやっていたら、ドラマとお笑いとの開きは大きいと思うんですが、テレビコント番組はスタジオでコントを撮って、カットもあって、キャラクターのシリーズ化もあったので、キャラクターの個性を自分で作り上げて、さらに深めていく必要がありました。それを経験していたから、あまり違いを感じずに入れたところはあると思います。
――最初から戸惑いやギャップはなかったのですね。
塚地:そうですね。ただ、テレビコント番組の場合、本番に全力をぶつけるので、リハーサルでは動きや段取りの確認をするくらいで、声もはらないし、大ボケも隠しているんです。テンションも本番は別もんやから。でも、テレビコント番組と同じ感覚でドラマに出て、リハとかドライ(カメラなしの最初から最後までのリハーサル)では台本持ちながらやるもんやと思っていたら、松たか子さんは10倍くらいのセリフ量なのに何も持たずに来たから「やばいやばい…」と焦ったことはあります(笑)。どうしてもテンションやボケは「本番にとっておく」性質になっちゃっているから、リハのときに「もう少し大きな声で」「もう少しテンション高く」と言われて「本番はそうするんすけどねえ」なんてことも最初はありました。