沢口靖子、『科捜研の女』と歩んだ22年 「プレッシャーないと言えば嘘になる」
1999年に放送開始されて以来、22年という超ロングシリーズとなったドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)が、ついに『科捜研の女 ‐劇場版‐』として映画化された。シリーズ全てで主人公の法医研究員・榊マリコを演じているのが女優の沢口靖子だ。「現行の連続ドラマ最長シリーズ」の記録を更新し続けている本作。沢口は主演として、どんな思いで作品に挑み続けているのだろうか――。(※「榊」は正式には木+神)
【写真】美しい白衣姿がすっかり板についた沢口靖子
■夢にも思っていなかった映画化!
2020年に「Season20」が放送され、現行のドラマシリーズの最長記録を更新した『科捜研の女』。20年以上にわたり、人気を博したテレビドラマだけに、過去にも映画化という話は何度もあったかと思われたが、沢口にとって映画化というのは、まったくの予想外の話だったという。
その理由について沢口は「マリコが所属する科捜研は、基本的に顕微鏡を見るとか、一つ一つ検証し積み重ねていく、ある意味で地味な作業がメインなので、大きなスクリーンで映画的な物語を紡ぐというのが難しい題材だと思っていたんです」と語る。
だからこそ映画化の話を聞いたときは「夢のようなお話でした」と胸を高鳴らせたという。「ちょうど節目の20年という時間を経て、集大成という意味で臨みたいと思いました」と、これまで以上にギアが入った。
■ファン必見の『科捜研』オールスターキャスト
沢口の「集大成」という言葉通り、映画では、過去20年間という時間があったからこそという懐かしい面々も登場。マリコの離婚した元夫・警察庁の倉橋拓也役の渡辺いっけいや、マリコの父親であり科学鑑定監察所の監察官の榊伊知郎役・小野武彦などが、重要な役どころで登場し、『科捜研』ファンにとっては、胸が熱くなるようなシーンがめじろ押しである。
『科捜研の女 ‐劇場版‐』ポスタービジュアル(C)2021「科捜研の女 ‐劇場版‐」製作委員会
「脚本を読んだとき、いつにも増して情報量と専門用語が多く、すごく難しいなと思ったのですが、予想がつかないスリリングな展開に加え、心がギュッと締め付けられるような場面もたくさんありました。とても懐かしい仲間たちも登場し、苦楽を共にした友人と再会したような感覚になりました。脚本家の櫻井武晴さんの20年分の思いや愛がヒシヒシと感じられ、私もその思いにお応えしたいと熱いものを感じました」。
久々となる面々にも「お会いした瞬間、長く空いていた時間があっという間に縮まって打ち解けるんです。それだけ絆というものが、深かったんだろうなと感じられる瞬間でした」とチームワークの良さを強調する。
そんな懐かしいメンバーに加え、劇場版では、マリコにとって大きな壁となる存在も登場する。佐々木蔵之介演じる天才科学者・加賀野は、怜悧な頭脳とカリスマ性を持つ微生物学の教授だ。
『科捜研の女 ‐劇場版‐』場面写真(C)2021「科捜研の女 ‐劇場版‐」製作委員会
「蔵之介さんとは、今回初めてご一緒させていただきました。京都の方で普段は関西弁ですごく気さくなのですが、いざ演技に入るとガラッと変わるんです。とても迫力のあるお芝居で、グッと迫ってくるものがあり、のみ込まれそうになりました」と印象を述べる。それでも、劇中は、いつものマリコさながら、動じることなく冷静に物事を精査していく。
「常にマリコを演じるうえで、意識しているのは、真実を明らかにしたいという情熱と、自分の仕事に対して、信念を持っているというところです。だからこそ、加賀野のようなすごい科学者を前にしても、どっしりとした気持ちでいられるのだと思います」。