2022年注目の人・黒島結菜 「作品に向き合い、思い切り楽しむ」1年に
“僕”と“彼女”の恋愛模様が描かれる一方、学生から社会人になったとき、理想と現実の壁にぶち当たる若者たちの葛藤も本作の大きなテーマだ。
「私自身は壁にぶち当たったな…と感じることはなかったんです。だからこそ逆にこの作品に出てくる人たちが、現実に押しつぶされてしまったり、裏切られてしまったりする中、一生懸命に夢に向かって進んでいく姿はすてきだなと感じました」。
壁にぶち当たらなかった=順風満帆な人生…というわけではないようだ。
「私は壁にぶち当たる前に、自分で壁を作ってしまう癖があるんです。簡単に言えば傷つきたくないから、あまり自分に期待をしない。期待し過ぎて、結果が伴わないと落ち込むじゃないですか。小学生や中学生の頃からそういうタイプでした。このお仕事を始めたときも、“役を勝ち取りたい”という欲がなかったから、あまりオーディションに受からなかったんです。そんなとき当時のマネージャーさんから『悔しいとか思わないの?』と怒られるのですが、『あんまり悔しくないです』なんて答えていましたからね(笑)」。
浮き沈みの激しい芸能界を生き抜くための、黒島なりの処世術。心に大きな負担を掛けずに、フラットに臨むことで自分の持っている力を最大限に発揮する。
「『絶対にこうしたい』という欲はないのですが、作品には100%で向き合っています。自分のできるベストを尽くして、その結果をフラットに受け止める。自分にプレッシャーを掛け過ぎずに、どこかで余白を残す方が、良いパフォーマンスを出せるような気がしています」。
しかし、こうした考えもいつかガラリと変わるかもしれない――という思いもある。
「今はこういった心の持ちようで、それを『変えなきゃ』という思いはないんです。でも、今考えていることが、10年後も同じかどうかは分からない。もしかしたら、すぐに『心から達成したい!』というものに出会い、もがき苦しむ状況になるかもしれないです。そればっかりは分からないですよね」。