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坂口健太郎、コロナ禍で迎えた30歳 生来のポジティブさと“菅波”との出会いが支えに 

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坂口健太郎
坂口健太郎 クランクイン! 写真:高野広美

 2021年に30歳という節目の年を迎え、役者としてさらに大きく羽ばたいた坂口健太郎。29歳から30歳へと移り変わる時期を捉えたフォト&ワードブック『君と、』が発売中だ。昨年はNHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の菅波役でお茶の間にも愛された彼だが、「“おいおい、菅波!”と突っ込んでいただくことで愛されていったように思います」と楽しそうににっこり。クシャっとした笑顔で周囲を温かな空気でいっぱいにする坂口。地に足をつけて歩みを進めている現状や、菅波がくれた今後への力を明かした。

【写真】ちょっと猫背気味で飾らない佇まいがかわいい坂口健太郎

坂口健太郎の深層心理が見えてくる『君と、』

 日本の美しい四季折々の風景に佇む坂口と、彼の心から生まれた言葉で構成された『君と、』。坂口は「“優しくて、美しい”というキーワードをきっかけに作っていきました。それにふさわしいものができた」と胸を張る。

 「物を壊すのは簡単だが、元に戻すのは本当に難しい」「優しい人も、切ない人も、怒りんぼも、みんなの願いが叶いますように」など心に浮かんだ素直な感情がつづられているが、「そのときはこんなふうに感じていたんだと、自分を知れたような気がしています」とコロナ禍における心象風景を改めて見つめることができたという。「集めた言葉を読み返してみたら、どこか鬱々(うつうつ)としているような感じもあって。いつもだったら引っかからないようなことに目を向けていた。僕は本来、ポジティブな人間なんです。そんな僕でも結構くらってしまっていたんだなと思いました。だからこそ、“優しくて、美しい”というワードが生まれたのかなと。きっと“優しくて、美しい”ものが自分に足りていないと思って、それを求めていたのかもしれません」と彼の深層心理までのぞける1冊となった。

坂口健太郎フォト&ワードブック『君と、』書影 撮影:sai ワニブックス刊
 「はかなさやドキッとするようなものなど、美しさにもいろいろな種類があるんだなと思った」というように、さまざまな美しさを提示している。「ある種の余白を持った本になったと思います。その人によって好きな写真や言葉も違うし、その日によって好きな写真が違うものになるかもしれない。みなさんのお気に召すまま。そういった感覚でお届けしたい。“委ねる”という言葉がぴったりの本になったと思います」と受け取った人々の反応を楽しみにする。


 坂口は、昨年7月に30歳の誕生日を迎えた。節目の年を迎えた心境を聞いてみると「20代の最後にはなにか楽しいことをしたいと思っていたんです。7月11日の誕生日には“よし! 30代も頑張っていこう!”と気合いを入れたりするのかとも思っていたんですが、なかなか外にも出られない時期ですし、想像していたよりもずっと30代を迎えた感覚が少なくて」と苦笑い。「28歳くらいでコロナ禍となり、そこからはいろいろなものがストップしたり…。でもこういった時代だからこそ感じられたこともあるし、そこで生まれた本ができたと思うとそれはラッキーかもしれないですね。ポジティブシンキングです」と前を向く。

 彼の強みのひとつは、このポジティブさだろう。主演を務めた映画『仮面病棟』、『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』がコロナ禍で公開となり、「映画館に足を運んでもらうことが当たり前ではなくなってしまった時期でした」と語りつつも、「僕が伝えられることはなんだろうと考えて、表現を通してなにか伝えることができるかもしれないと思いました。“観てもらいたい”という気持ちにもっと貪欲になったかもしれません」とキッパリ。


 そして“どんなに取り巻く環境が変化しても、まったく彼自身が変わらない”という点も、坂口の大きな魅力だ。昨年は『おかえりモネ』や『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)での好演が話題となりまたグッと知名度を上げた彼だが、「初めて世間の皆さんに知っていただいた時期は、爽やかで優しそうな好青年というイメージに対して、“そうじゃない自分もいる”と思ったり、“自分の知らない坂口健太郎”がどんどん大きくなっていってしまうことがとても怖かった。“違う自分も見せたい”ともがいたし、自分で自分を身軽でなくしてしまっていたんです」と振り返り、「でも今は、注目していただけることはもちろんうれしいですが、当事者感を切り離して客観視できるようになりました。そうなると自分の軸さえあればなんでもありというか(笑)。怖さも抜けて、とても楽です」と告白。

 そうなれたのは「どう思われてもいいと感じられたことも大きい」とのこと。「僕は、友達がもし失敗したとしてもそれを許せるし、極論、元気でいてくれればいいと思っています。逆にいうと、僕に対してそう思って、ちゃんと僕のことを知ってくれている人がいる。その人たちが僕を強くしてくれました」と身近な人々との関わり合いの中でブレない自分を作り上げてきた。

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『おかえりモネ』との出会いがくれた力「僕も菅波が大好き」

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