ツィゴイネルワイゼン
【解説/みどころ】
内田百間原作の『サラサーテの盤』と多くの短編のアイデアをもとに、時間と空間、現実と幻想の間を映像がさまよう不思議な世界を生み出した異色作。主演の4人の誰もが個性的な魅力を見せ、原田芳雄の狂気、大谷直子の陰影、幽艶な大楠道代、そしてその間で戸惑いためらう藤田敏八と絶妙な対照を成している。なかでも強烈なのが、だんだんと死の世界に取り憑かれていく大楠道代で“腐りかけがおいしいの”と熟し過ぎた水蜜桃を舌でチロチロと舐めるシーンと、それに呼応するように原田芳雄の目の中に入ったゴミを舐め取るシーンには色気というよりは殺気をはらんだ妖気がある。この妖気が全編を覆い、2時間を超す長尺を感じさせない緊張した作品となっている。
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