仏・アングレームをまるごと撮影所に!? 『フレンチ・ディスパッチ』メイキング特別映像
ウェス・アンダーソン監督の最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』より、町並みがたちまちウェス・アンダーソンの世界へ変貌し、ウェスの野心にスタッフも圧倒されるメイキング入り特別映像が解禁された。
【動画】ウェス・アンダーソンらしい撮影風景が随所に!『フレンチ・ディスパッチ』メイキング特別映像
アンダーソン監督の長編10作目となる本作の舞台は、20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍し、唯一無二の記事で人気を獲得している。ところが、編集長が仕事中に急死、遺言によって廃刊が決まってしまう─。
1月28日に全国131スクリーンで公開を迎えた本作は、公開3日間で動員3万1609人、興収4636万8160円を記録。初日興収は1368万3300円を稼ぎ出し、ウェス・アンダーソン監督作品史上最高を記録した。
特別映像では、ロケ地となったフランスのアングレームでのロケハンの様子や、町並みがたちまちウェス・アンダーソンの世界へと変貌していく過程、そして実際の撮影現場に迫る。
本作にぴったりなロケ地を見つけるためにフランス各地を探し回ったというウェスは「街から一歩も出ずに街にあるものだけを利用して全編を撮影できる街だ」とアングレームを説明し、美術のアダム・ストックハウゼンも「階段も坂道もすべてが完璧だった」と語る。
しかし最初は、フランスの架空の街を舞台に短編のストーリーが次々と展開されるという脚本にスタッフの誰もが衝撃を受けたようで、編集のアンドリュー・ワイスブラムは「“出来るの?”とすぐウェスに聞いたよ(笑)」、ストックハウゼンも「最初はかなりパニックだった」と当時立ちはだかった壁を振り返る。
さまざまな試行錯誤を経て、第3話「警察署長の食事室」に登場する誘拐犯のアジトはアングレームの街中に一からビルを建て、第1話「確固たる名作」に登場する刑務所をはじめとするさまざまなセットは街の工場跡を改造した撮影セットで撮られていくなど、アングレームの街を丸ごと活用し、大規模な撮影が進行。ウェスも「アングレーム全体が野外撮影所だった」と振り返る。
1000人を超えるアングレームの住民もエキストラとして参加。漫画のメッカとしてフランスで有名なアングレームにはアニメーション学校もあり、第3話「警察署長の食事室」で登場するアニメーションのシーンは現地の人や学生を雇って制作されたものだ。メイキングにはエキストラ一人一人に敬意を込めて握手をするウェスの姿も切り取られており、ウェスは「彼らはいわばパートナーだ」と明かしている。
映像には、ティルダ・スウィントンの実の伴侶で芸術家のサンドロ・コップが、劇中に登場するモーゼスの絵画を制作する様子や、一時停止のシーンでは後からデジタル編集をすることなく本当にその場で“だるまさんがころんだ”をすることとなり、和気あいあいとしたキャストたちの姿と、隅から隅までリアルなものにこだわったウェス・アンダーソンらしい撮影風景が映し出される。モーゼス役のベニチオ・デル・トロも「映像や美術表現へのこだわりが強い。細部にまでこだわり抜かれた小道具、衣装、カメラワークがとてもユニークで、いかにもウェスらしい。全てが別次元だ」と太鼓判を押す。
映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』は、全国公開中。