華やかな宴が一転、殺戮と略奪の地獄絵図に メキシコの冷徹なる俊英が描く“悪夢”『ニューオーダー』予告
第77回ヴェネツィア国際映画祭審査員大賞を受賞したメキシコのミシェル・フランコ監督作『ニューオーダー』より、華やかな宴が地獄絵図へと変わっていく“悪夢の始まり”を告げる予告編、新たな場面写真が解禁された。
【動画】幸せな結婚式が地獄絵図に一変 『ニューオーダー』予告編
本作は、広がり続ける経済格差とそれがもたらす社会秩序の崩壊を描くディストピア・スリラー。ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞など2冠を受賞しながらも、各国の映画祭で激しい賛否両論を巻き起こした。監督は、長編デビュー作から4作品連続でカンヌ国際映画祭に正式出品され、コンペティション部門での脚本賞を含む3冠に輝いてきたメキシコの俊英ミシェル・フランコ。
夢に見た結婚パーティー。マリアンにとって、その日は人生最良の一日になるはずだった。裕福な家庭に生まれ育った彼女を祝うため豪邸に集うのは、着飾った政財界の名士たち。一方、マリアン宅からほど近い通りでは、広がり続ける貧富の格差に対する抗議運動が、今まさに暴動と化していた。その勢いは爆発的に広がり、ついにはマリアンの家にも暴徒が押し寄せてくる。華やかなうたげは一転、殺りくと略奪の地獄絵図が繰り広げられる。難を逃れたマリアンを待ち受けていたのは、軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。電話や通信網は遮断され、ついさっきまで存在していたはずの法と秩序は崩壊、日常が悪夢に変わる。だが、“最悪”はまだ始まったばかりだ-。
予告編は、豪邸で開催された結婚パーティーで、主役のカップルが幸せそうにダンスをするシーンからスタート。しかし女性が水道の蛇口をひねると、何か不吉なことが起こる前触れのように緑色の水が流れ、様子は一変。暴徒たちが豪邸へ押し寄せ、パーティーは地獄絵図と化す。
続いて、「この作品は現在そして未来に対する警告だ(The Guardian)」「神経を逆撫でし鮮烈な印象を残す(Deadline)」「観客の知性が試される1本(Variety)」など本作に寄せられたコメントと共に映し出されるのは、街中での殺戮や略奪の様子。さらに、額に「16」と書かれた下着姿のマリアンが、カメラに向かって「ママ、パパ、私は元気よ。身代金を用意して」と泣きながら訴える姿も。果たして、これは悪夢か。それとも無慈悲な現実か。現代人が直面する危機的状況を想起させる、リアルな恐怖に満ちた予告編となっている。
映画『ニューオーダー』は、6月4日より全国順次公開。