小林聡美が思う家族や友人との心地よい形「距離感を持ちながら味方でいてくれる」
昭和の名作ドラマとして今なおテレビ史にその名を残す『岸辺のアルバム』が初めて舞台化される。名女優・八千草薫が演じ、家族を第一に支え続ける日々の中ふとしたことから謎めいた男と関係を深めていく主婦・則子役に挑むのは小林聡美だ。同じく名作ドラマを舞台化した『阿修羅のごとく』でタッグを組んだ、倉持裕(脚色)&木野花(演出)と再びの顔合わせで名作を令和によみがえらせる小林に、本作への思い、家族観などを語ってもらった。
【写真】小林聡美、チャーミングな個性あふれる撮りおろしショット
◆テレビ史に残る名作ドラマを舞台化 八千草薫が演じた主人公に挑戦
『ふぞろいの林檎たち』(1983~1997)など数々の名作ドラマを世に残した山田太一が原作・脚本を務め、1977年に放送された本作は、1974年9月に発生した多摩川水害をモチーフに、母親の不倫から始まる家族の崩壊を描き、リアルでセンセーショナルなストーリーが当時のホームドラマの概念を覆した名作として語り継がれている。
――出演オファーをお聞きになった時のお気持ちはいかがでしたか?
小林:『岸辺のアルバム』という作品は素晴らしいドラマだというのが私の中でありましたし、それを初めて舞台化するにあたって主人公を演じるというのは、かなり大変そうな気もしましたけど、せっかくお話をいただいたので挑戦してみようという気持ちでお受けしました。
――どういったところが大変そうだと?
小林:あんなにボリュームのある連続ドラマの熱量を2時間で表現するというのは大変なチャレンジだと思ったんですよね。ドラマのスケールも知っていますし、あれを舞台でとなると、私は観てみたいけど(笑)、きっと大変なんだろうなと。
舞台『岸辺のアルバム』ビジュアル
――ドラマにはどんな印象をお持ちでしたか?
小林:家族というものをなんとかいい形で保っていきたいと、主婦である女性がもがいていた時代のお話という印象がありました。新しい文化や時代の流れの中で、理想的な家族の形、幸せな家族の形というものがあって、そんな中に1人の人間としての心の揺らぎだったり、ちょっとした魔だったり、そういうものが隣り合わせにある。そのゾクゾクする感じは誰もが共感できる部分だと思いますし、50年経った今でも面白いと思える作品なのではないかなと感じています。
――今回演じられる則子という女性についてはどんなキャラクターだと捉えられていますか?
小林:きちんとしていて、しかもキレイで、本当に主婦の鑑のような、素敵なお母さんですよね。しかもドラマでは八千草さんが演じられたということで、「すいません」っていう感じなんですけど(笑)。でもそれはそれで、今、この時代に、ドラマとの違いをあえて楽しむこともこの作品の一つの観方だと思いますし、則子の持ちこたえようと頑張っている気持ちや、ちょっとした心の隙間を許してしまったりする気持ちってなんかわかるなと共感していただけるところがたくさんある人物でありたいなって思っています。

