松重豊「僕自身にとって挑戦になる役」 『ツユクサ』でラブストーリー初挑戦の心境語る
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4月29日より公開される、女優の小林聡美が主演を務める平山秀幸監督最新作『ツユクサ』。このたび、本作でラブストーリーに初挑戦した俳優の松重豊が、その心境を語るコメントが到着した。
【写真】松重豊、『ツユクサ』でラブストーリーに挑戦
本作は、過去を抱えながらも「今」を生きる主人公・五十嵐芙美にこれから訪れるだろう幸せや希望をさわやかに映し出した“大人のおとぎ話”。安倍照雄によるオリジナル脚本を、『愛を乞うひと』『閉鎖病棟‐それぞれの朝‐』など、さまざまな視点から人生を描いてきた平山監督が映画化した。
劇中で松重が演じるのは、田舎町に越してきた見慣れない男性・篠田吾郎。50歳を目前にした芙美(小林)と運命的に出会い、お互い徐々に惹かれ合うという役どころで、大人のラブストーリーに初挑戦している。
松重は、オファーを受けた当時を振り返り「平山監督からは『やっと松重がラブストーリーを演じるのを見たくなった、試したくなった』と言っていただけて。僕自身50歳を過ぎるまで、エンターテインメントのなかで恋愛パートのオーダーは来ないだろうと思っていたんですね。恋愛とは無縁のような生活を送る年齢で、そういうお話をいただいた。しかも今回は、謎めいた恋愛対象として見られる役柄。僕自身にとって挑戦になる役だと思いました」とコメント。
続けて「僕らの年代の恋愛となると、いろんなものが纏わりついている。それは、人生のしがらみだったり、精神的な負荷だったり…そういったものが物語に作用しないとラブストーリーに昇華していかない感じがしていて。さらに、それをお見せしたとして面白いものになるのだろうか、自分のなかで自信のない部分がありました。吾郎には抱えているものがあって、そこから逃避しようとしたり忘れようとしたりするなかで、心の傷を抱えながら次のステップに進もうとしている。僕らの年代であれば、吾郎の気持ちは切実に分かります」と、役柄への葛藤や共感を語る。
実際に演じる際は「どの役でも、感情のプロセスは同じだと思っています。たとえば、その人が何を考えて何を感じているのか興味が湧いて、その興味の先に好きがある、そういう素敵な主人公に恋に落ちる場合もあれば、役によっては殺したくなることもある。今回の映画は、そんな展開にはならないですが、感情のプロセスは同じだと思うんですよね」と、いつもと同じアプローチで挑んだとコメント。
そして「小林聡美さんという俳優に惹かれる気持ちを恋愛に結びつけることができたら、嘘なく演じることができると思いました。小林聡美さんは、存在感があって、透明感があって、本当に素敵な方ですから」と、共演した小林の魅力を称賛しつつ、初挑戦となったラブストーリーを無理なく自然に演じられたと語った。
人はいくつになっても出会いがあり、恋愛ができる。そんな前向きな気持ちにさせてくれる、小林と松重が紡ぐあたたかな大人のラブストーリーに期待したい。
映画『ツユクサ』は、4月29日より全国公開。