ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演で日本の公衆トイレを映画に

関連 :
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』などで知られる世界的映画監督ヴィム・ヴェンダースが、日本の公衆トイレの清掃員を主人公にした最新作を東京・渋谷で撮影することになり、11日に「THE TOKYO TOILET Art Project with Wim Wenders」と銘打ったプロジェクトの記者発表が開催。ドイツから来日したヴェンダース監督、主演の役所広司、建築家の安藤忠雄らが出席した。
【写真】ドイツから来日したヴィム・ヴェンダース監督
日本財団が渋谷区と協力し、公衆トイレの改築プロジェクト「THE TOKYO TOILET」を進めており、安藤忠雄、隈研吾、佐藤可士和ら16名の建築家やクリエイターが参加している。同プロジェクトにヴェンダース監督が賛同し、新作映画を撮影することに。現在、シナリオハンティングの最中で、年内に渋谷で撮影を行ない、2023年に公開される予定だという。
監督は映画のオファーを耳にした際は「え? トイレ?」と奇抜な題材に驚いたそう。トイレは英語で「REST ROOM(休息する場所)」だが、渋谷区内に設置された実物のトイレを見て「真の意味でREST ROOMだと感じました。何章かの物語をつづりたいと思いました」とインスピレーションを受けたよう。
役所は、ヴェンダース監督のオファーに「断る俳優はいないと思います。俳優になって40年、頑張って業界にしがみついてきてよかった。素晴らしいご褒美をいただいた」と感慨深げ。
演じる主人公について、会見の直前に監督から構想を聞かされたそうで「365日休まず、1日3回トイレの清掃をする男」とのことで「美しい物語になる予感がしています」と期待を口にする。ヴェンダース監督は「人のために何かをすることを愛し、自分の仕事に対してそうであるように、他人に対して献身的な人物だと思います」と言い添えた。
安藤は1994年にヴェンダース監督が来日した際に顔を合わせて以来、親交を温めてきたがこの日の会見では「まだ生きてたんか(笑)?」とユーモアたっぷりに語り、ヴェンダース監督も安藤の言葉に思わずニヤリ。同世代のクリエイターとして安藤を「敬愛している」と語り、安藤から贈られた、自身の顔をデザインしたスタンプを今でも手紙の署名代わりに愛用していることを明かしていた。