「渋谷ホームレス殺人事件」をモチーフ 高橋伴明監督×板谷由夏主演『夜明けまでバス停で』公開決定
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『痛くない死に方』の高橋伴明監督が、女優の板谷由夏を主演に迎えて「渋谷ホームレス殺人事件」をモチーフに描く映画『夜明けまでバス停で』が、10月8日より公開されることが決定。板谷を捉えた場面写真、高橋監督のコメントが解禁された。
【写真】「板谷由夏」フォトギャラリー
2020年11月、路上生活をしていた当時64歳のホームレス女性が、寝泊まりしていた渋谷区幡ヶ谷のバス停前で突然殴打され死亡する事件が発生。非正規雇用や年齢などでいつ仕事がなくなるか分からない中、コロナ禍でさらに不安定な就労状況に。そんな危機的状況にもかかわらず、「自尊心」ゆえに助けを求められない人々。
本作は、高橋監督が「今、これを世の中に発信しなければ」という思いを胸に、誰でも起こりうる可能性がある「社会的孤立」に置かれた主人公を通して、日本社会の危惧すべき現状を描く物語。バス停で寝泊まりするホームレスに転落してしまう主人公・三知子役を、『欲望』(2005)以来の映画主演となる板谷由夏が演じる。
北林三知子(板谷)は昼間はアトリエで自作のアクセサリーを売りながら、夜は焼き鳥屋で住み込みのパートとして働いていたが、突然のコロナ禍により仕事と家を同時に失ってしまう。新しい仕事もなく、ファミレスや漫画喫茶も閉まっている。暗闇の中途方に暮れる三知子の目の前には、街灯に照らされそこだけ少し明るくポツリと佇むバス停があった…。
一方、三知子が働いていた焼き鳥屋の店長である寺島千晴は、コロナ禍で現実と従業員の板挟みになり、恋人でもあるマネージャー・大河原聡からのパワハラ・セクハラにも頭を悩まされていた。そして、誰にも弱みを見せられずホームレスに転落した三知子は、公園で古参のホームレス・バクダンと出会い…。
高橋監督は「子供の頃からずっと何かに対して怒っていた気がする。映画屋になってからも『怒り』が映画を創る原動力だった。ストーリー上での状況、登場人物のキャラ、セリフ……想定した敵と怒りを持って戦かってきた。それは『光の雨』まで続いたが、ある想いに至り怒りを封印する忍辱行に勤めることにした。ところがどうだ、世の中は醜い怒りの種を増殖するばかりである。『光の雨』から20年、監督デビューから50年、何のヒネリもなく、そのままに『怒り』を吐露しても、もういいのではないだろうか」と、本作に込めた想いを語っている。
映画『夜明けまでバス停で』は、10月8日より全国順次公開。