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是枝裕和監督最新作『ベイビー・ブローカー』主演ソン・ガンホ、カンヌ最優秀男優賞 韓国人俳優初の快挙

映画

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是枝裕和

是枝監督、授賞式後に囲み取材「日本の映画界全体が危機感を持つべき」「英語圏で撮ってみたい」  

 授賞式の後に、是枝監督が囲み取材を行い、ソン ・ ガンホの受賞と本作への思い、また今後についてコメントした。

――監督作品での男優賞は2度目。俳優を際立たせる監督だと思いますが。

是枝監督:自分の映画に出た役者が褒められるのが一番嬉しい。素直に嬉しいです。自分が褒められると疑ってかかりますけれど(笑) 、役者が褒められる時は本当に嬉しいです。特に今回はソン・ガンホさん。予想はしていなかったのですが、このプロジェクトにとって彼の男優賞というのは、最高のゴール、とても美しいゴールだなと思います。

――ソン ・ ガンホさんとはどのようなお話をされたのですか。

是枝監督:受賞の後は、トロフィーを持って抱き合っただけです。まだそんな言葉を交わすというよりは、本当に良かったと抱き合いました。

ーー受賞後の会見でもソン・ガンホさんはすごく是枝監督のお話をされていたのですが、何かお二人の間に生まれた特別な絆はありますか? 「日本との違いはない、仕事では感じなかった」とソン・ガンホさんが言っていました。そういう意味では監督とソン・ガンホさんはつながっているんだなと思って。

是枝監督:そうですね。それは日本でやる時も変わらないから。どう信頼関係を築いてお互いが何を求めるのか、言葉を尽くして話すということも大事ですし、撮りながらそれをどういう風に、関係を深めていくかという。彼が積極的にアプローチをしてくれたので、本当に助けられましたし、良い関係が築けたのかなと。

ーー先ほどおっしゃった、この作品にとって最高のゴールの意味をもう少し教えていただけますか?

是枝監督:『誰も知らない』の時にも授賞式に呼ばれて一体何の賞なんだろうなと思っていたら、全く予想をしていなかった男優賞というのをいただいて、頭が真っ白になって何を言ったらいいのかわからなくなりましたけれども、結果的には色んな意味でとても良かった。

今回、 この日韓の合同チームで主演の役者が男優賞というのは、韓国映画界でも男優賞初なので、ソン・ガンホさんも国際賞で単独というのは初だと思うので、 そういう意味でも、今韓国国内でも結構盛り上がっているはずですし、僕ら多分共演した役者たちもスタッフももらって一番嬉しい賞だと思う。彼がこの作品のキモだったし、本当にムードメーカーだったし、チームリーダーだったし、彼がこういう形で評価されたのは何よりでした。

ーー俳優に賞を獲らせるというか、いい演技をさせる秘訣があると思いますがそれは何でしょうか。

是枝監督:いい演技をさせるという感じではないんですけど…。ただ、今回は本当にお互いに僕も彼の演技を観ながら脚本を現場でなおしていく、編集をみてもらって、というか彼がみるので(笑)、観て意見がもどってきて、そういうフィードバックが撮影の裏で毎日あった。そのことが僕にとって判断の基準になりましたし、そういう信頼関係の中で進められたというか、結果的に作品の中に残っている彼の芝居の質も上げたと思いますし、僕が何か引き出したというよりは、そういう感じなのかなと。

ーー今、信頼関係という言葉が出ましたが、日本と韓国の関係がぎくしゃくすることもありますが、是枝監督とソン・ガンホさんの関係を見ていると希望を感じるのですがいかがですか?

是枝監督:パク・チャヌクさんとも話していて、これをきっかけに、もっと日韓のスタッフとかキャストとかの交流が進むといいねと。お互いにお互いから学ぶことが沢山あるだろうし、そこからまた新しいものも生まれてくるだろうから、そういうことが進むといいなという話を今していました。

ポン・ジュノさんとかと話していても、日本の役者で撮りたいという気持ちをすごく感じるし、色んな役者さんの中でもおそらく韓国の監督たちとやってみたいと思っている人はすごく多いと思いますよ。そういうことが進んでいくのを僕はとてもいいことだと思います。

ーーパク・チャヌク監督も受賞して、韓国映画の快進撃が続いていますが、 さらに配信ドラマ、テレビドラマも間髪無く出てくるではないですか?日本の監督としてその中に飛び込んだわけですが、そこから何か持ち帰って、俺ももっとぶつけるぞ!みたいなことはありますか?世界に向けて。

是枝監督:学ぶことも沢山ありましたし、そのことで日本の映画の、映画だけに限らないかもしれませんが映像産業、映画文化も含めて変えなければいけないところは明解になってきているはずで。でもそれは監督だけではできないので、日本の映画界全体が危機感を持つべきだと僕は思いますし、多分もう何年かこのままいくと手遅れになるなと個人的には思っていますので、何かしらのアクションを促し、自分自身は今回のことをいろんな勉強と反省を持ち帰って、また日本で撮りながら、またチャンスがあれば海外でいろんな方たちと組んで吸収して持ち帰って、その繰り返しですね。

ーー言葉の壁というよりも、もし映画に壁があるとしたらなんでしょうか?ないんだったらなぜ皆もっと一緒につくれないんでしょう?まったく外国の壁を感じないで見てられましたし、それでも是枝さんの映画だったし、でも韓国映画だったし。

是枝監督:それを目指してどうやればそうなるのか?監督だけではできないので、スタッフ、キャストの協力の下にチャレンジしているものではあるんですけど。本当にできているかどうかは、まだ自分でも確信はないので。試行錯誤ですね。

ーーソン・ ガンホさんが賞をもらったということはひとつ具体的な形になったと思いますが?

是枝監督:そうですね、一つの結果ではあるとは思いますけど、まだもうちょっと自分で検証が済んでいないので、もう少し自分でやれたことと、やれてないことをチェックしないと 、 本当に言葉のわからない国で撮っても大丈夫だよと自分で言えるかはまだわからないです。

ーーハリウッドもあるんですかね?

是枝監督:ハリウッドというと大きくなってしまいますが、英語圏で撮ってみたいというのはあるので、いつになるかわかりませんけど今回の総括がすんだら考えてみようと思います。

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